食べすぎた夜のあと、スマホで「食前 水 ダイエット」と検索する。食事の前にコップ一杯の水を飲めば食べすぎを防げる、とよく聞く。けれど、本当に食べる量は減るのか。減るとしたら、どのくらいなのか。ランダム化試験を手がかりに、効果の大きさと限界を整理していく。

食前の水は、体重や食べる量に何をすると報告されているのか?
毎食前に水を飲む群は、体重の減少がやや大きかったと報告されている。
Parretti ら(2015)は、肥満のある成人84人を、毎食の30分前に500mLの水を飲む群と、そうしない群にランダムに分けて12週間比較した。その結果、水を飲む群は対照群より体重の減少が平均1.3kg大きかったと報告されている。さらに、1日3回すべての食事前に飲めた人は平均4.3kg、1回以下だった人は平均0.8kgの減少と、続けられた回数と関連していた。胃に水が入ってふくらむことで、食事の量が控えめになる方向に働きうる、という読み方ができる。効果には個人差がある。
その効果は、誰にでも同じなのか?
別の試験では高齢の成人で食事量が減った一方、若い成人では有意差がなかった。
ここで立ち止まりたいのは、効果が一律ではないことだ。Van Walleghen ら(2007)の試験では、食前の水は高齢の成人で食事のエネルギー摂取を約13%減らしたが、若い成人では有意な差はみられなかった。胃が空になる速さや満腹の感じ方が年齢で異なることが、背景にあると考えられている。つまり「水を飲めば誰もが食べる量が減る」わけではなく、年齢や状況に左右される、穏やかで予備的な効果だ。だから期待しすぎず受け取るのが正直だろう。
試すとしたら、どんな姿勢がいいのか?
無理のない範囲で。食事を我慢する道具にしないことを前提にする。
研究で使われたのは、毎食の30分ほど前にコップ2〜3杯の水を飲む形だった。だから試すなら、まずは一日のどこか一食の前に一杯、から始めるのが無理がない。ただし、水分量に制限のある持病がある方や、心臓・腎臓に不安のある方は、量を増やす前に医療機関に相談してほしい。そして大切なのは、これを「食事を我慢するための手段」にしないことだ。食前の水は、食べる量を無理に削るためではなく、落ち着いて食べ始めるための小さな一手として置くほうが、体にも気持ちにもやさしい。効果には個人差がある。
今夜の一手: 次の一食の前に、コップ一杯だけ
今日から全部の食事を変えなくていい。決めるのは、次の一食の前に、コップ一杯の水を飲んでから食べ始めること。それで食事のペースや満腹の感じがどう動くか、数日だけ眺めてみる。水は答えの一部にはなっても、食事全体の代わりにはならない。効果には個人差があります。
