朝、体重計に乗って、昨日より増えた数字にため息をつく。昨日は我慢したはずなのに、と。その一喜一憂が続くと、続けること自体がしんどくなる。数字を消す必要はない。ただ、その数字が何を映しているのかを知っておくと、距離の取り方が変わる。

体重計の数字は、何を測っている?
体重は脂肪だけでなく、筋肉や水分も含んだ合計値だ。 同じ「1kgの増減」でも、その中身は食事の量、水分、前日の塩分など、いろいろなものが混じっている。1日の変動の多くは、脂肪が急に増えたり減ったりしたのではなく、体内の水分などが動いた結果であることが多い。だから毎朝の一桁を「成果」や「失敗」と直結させると、実際には起きていないことに一喜一憂することになる。効果には個人差があるが、まず数字の正体を知ることが距離を取る第一歩だ。
数字が動かない時期に、何が起きている?
同じ体重でも、中身が入れ替わっていることがある。 8ヶ月にわたるRCTでは、体脂肪や体重の減少には有酸素運動が向き、筋肉を増やすには筋トレが要ると整理されている。さらに別のメタ分析では、カロリー制限に筋トレを併せると、制限だけだと失われがちな筋肉の減少をほぼ防げたと報告されている。つまり体重が横ばいでも、脂肪が減って筋肉が保たれていれば、中身は良い方向に動いている。体重計はそこまで映してくれない。
体重計を、責める道具にしないために
数字は現在地を知る情報で、自分の価値を測るものではない。 増えた日に自分を責めても、翌日の行動が良くなるわけではない。むしろ「もう台無しだ」という気持ちが、続けてきたことを手放させてしまう。体重計は、天気予報のように淡々と眺めるくらいがちょうどいい。数字が乱れる日があっても、歩いた・自炊した・早く寝たといった行動は、確かに積み上がっている。
今夜の一手: 測る対象を、一つ足す
明日から、体重の隣にもう一つ、行動を記録してみる。歩数でも、自炊した回数でも、寝た時刻でもいい。数字が動かない朝でも、積み上げた行動は目に見える。体重計だけを鏡にすると気分に振り回されるが、行動という別の鏡を持つと、続けている自分が見えてくる。


