たんぱく質の話になると、まず「何を選ぶか」から入りたくなる。どの食品の質が高いのか、どのプロテインが上位なのか。指標があると、順位を見たくなる。ただ、その前に確かめておきたい順序がある。

採点基準を先に開示する

採点するのは研究の厚みだけだ。その主張を直接調べた試験があるか、デザインは何か(網羅的レビューか、ポジションスタンドか、メタ分析か)、原著がどこまで言っているか。

採点しないものも書いておく。値段、好み、続けやすさ、売れ筋。どれも現実には効いてくるが、研究の厚みとは別の軸なので混ぜない。

質の指標(DIAAS)は、何を測っているのか?

DIAASは、単一の食品に含まれるアミノ酸の質を示す指標だ。 網羅的レビューでは、100以上を excellent、75〜99を high、75未満を表示不可と区分している。動物性では豚肉117・カゼイン117・卵101、植物性ではじゃがいも100が excellent に入る。大豆91とホエイ85は high、小麦・とうもろこし・米などは75未満と整理されている。

意外に見えるところもある。ホエイは85で、じゃがいもの100より下だ。順位表は、そういう直感とのずれを見せてくれる。

ただし原著は同時にこう書いている。これはあくまで単一食品の指標であって、食事全体や総量の話とは別だ、と。ここが今回の分かれ目になる。

総量の目安は、どこにあるのか?

国際スポーツ栄養学会のポジションスタンドは、運動する人の多くにとって1日1.4〜2.0g/kg体重で十分としている。 1回あたりは0.25g/kgまたは20〜40gが目安で、同化効果は運動後24時間以上続くため、最適なタイミングは個人の許容度しだいだとも書かれている。

つまり、こちらには「1日でいくら」という具体的な目安がある。質の指標のほうには、一日の合計をどう組むかまでは書かれていない。

源の違いは、結果を分けたのか?

18件の無作為化試験をまとめたメタ分析では、動物性と植物性でトレーニング後の除脂肪量や筋力の変化に有意差はなかった。 50歳未満の除脂肪量でのみ動物性がやや有利で、重み付き平均差はおよそ0.41kgと報告されている。試験ごとにたんぱく質の種類や量にばらつきがある点も、原著が断っている。

差がまったくないわけではない。ただ、源の選択が結果を大きく分けたとまでは言えない、という水準だ。

判定: あなたが今どちらに近いかで変わる

  • 一日の合計が目安に届いていないなら、総量が先だ。ここには具体的な数値の目安があり、メタ分析でも源より総量が土台として扱われている。
  • 総量はすでに満たしていて、さらに詰めたいなら、質の指標を見る余地がある。50歳未満の除脂肪量では、わずかな差が報告されている。
  • 主食が小麦や米に偏っているなら、指標の上では低めに出る。ただしそれは「その食品に価値がない」ではなく、この基準では下がるという意味でしかない。

順位は効果の保証ではありません。ここで採点したのは研究の厚みです。効果には個人差があります。

今夜の一手: 昨日の合計を、一度だけ数える

順位表を眺める前に、昨日一日で自分がどれくらい摂ったかを、ざっくり足してみる。目安に届いているかどうかで、次に動かすべき場所が変わる。