夕方のオフィス。眠気覚ましにもう一杯、と手が伸びる。その一杯が悪いわけではない。問題は、それが夜の眠りまで届いてしまうことだ。「何時までなら大丈夫か」を、就寝時刻から逆算して決めておきたい。

午後にコーヒーへ手を伸ばす人のイラスト

午後3時のコーヒーは夜に残る?

残りうると報告されている。しかも自覚のないまま眠りが削られる。

Drake et al. 2013(J Clin Sleep Med)は、400mg——コーヒー2〜3杯ほど——のカフェインを、就寝の0時間前・3時間前・6時間前に摂った条件を比べた。すると6時間前に摂った場合でも、客観的に測った総睡眠時間が1時間以上減ったと報告されている。

見過ごせないのは、被験者がその乱れに気づいていなかった点だ。「ちゃんと眠れた」という感覚と、実際に削られた眠りは別だった。夕方の一杯は、夜まで静かに尾を引いていることがある。

「何時まで大丈夫」は誰にでも同じ?

同じではない。感受性には個人差がある。

食品安全委員会のファクトシートでも、カフェインの摂取量には目安があり、感受性には個人差があるとされている(妊娠中や子どもは別の目安)。つまり「15時以降はやめる」といった一律の正解はない。効きやすい人もいれば、平気な人もいる。効果には個人差があります。

一方でIrwin 2020のメタ分析(45研究)では、睡眠不足のときのカフェインは注意や反応時間を改善したと報告されている。覚醒作用そのものは役に立つ場面もある。だから話は「ゼロにするか」ではなく「いつまでにするか」だ。

門限はどう決める?

一律の時刻ではなく、自分の就寝時刻から逆算して1本の線を引く。

Drakeの実験で6時間前でも影響が出たことをふまえると、就寝時刻から手前に余裕を取って門限を決めるのが無難だ。自分に合うかは試しながら調整すればいい。まず1本引いて、眠りの手応えで動かす。

今夜の一手: カフェインの門限を1つ決める

今夜決めるのは1つでいい。

  1. 就寝予定時刻から逆算して「カフェインの門限」を決める(例: 就寝の6時間前以降はカフェインレスに切り替える・約10秒)
  2. 夕方以降の飲み物を1つ用意しておく(麦茶・カフェインレスコーヒーなど・決めるだけ)

眠気覚ましの一杯を悪者にする必要はない。夜に残さない門限を1本引くだけで、取り戻したい眠りに手が届きやすくなる。