トレーニングを始めると、まず気になるのがプロテインだ。パウダーを買うべきか、それとも普通の食事で足りるのか。「パウダーのほうが効率がいい」という声もあれば「食事が基本」という声もある。売り込みではなく、研究の範囲で正直に並べてみたい。
パウダーは食事に「勝つ」のか?
摂り方より、1日の総量のほうが主役だと報告されている。 国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドでは、運動する人の多くは1日1.4〜2.0g/kgのたんぱく質で足り、1回あたりは20〜40g(または0.25g/kg)が目安とされる。しかも筋肉づくりを支える同化効果は運動後24時間以上続くため、摂る最適なタイミングは本人の許容度しだい、と整理されている。つまり「パウダーか食事か」という形そのものが勝負を決めるわけではない。
源の違いは、思うほど大きくない
動物性と植物性でも、筋肉量・筋力の伸びに大きな差は見られなかったと報告されている。 18件の無作為化試験をまとめた2021年のメタ分析では、たんぱく質の源による差は小さく、50歳未満の除脂肪量でのみ動物性がわずかに有利(重み付き平均差およそ0.41kg)だった。もっとも、パウダーは成分が偏ることもある。成分分析(Gorissen 2018)では植物性アイソレートのロイシン量に幅があり、乳を下回るものが多かった。ここは読み違えやすいが、「源で決まる」ではなく「足りているかで決まる」に近い。効果には個人差がある。
食事とパウダー、それぞれの強み
どちらが上という話ではなく、強みが違う。食事は、よく噛む必要や水分を伴うぶん満腹感を保ちやすく、他の栄養も一緒にとれる。 満腹感指数の研究(Holt 1995)では、同じカロリーでも食品まるごとのほうが満腹感が高い傾向が示された。一方でパウダーの強みは、量と手軽さだ。忙しい朝や運動直後に、狙った量を手早く足せる。逆に欠点も正直に言えば、パウダーは成分が偏りうるし味の好みも分かれる。食事は、忙しい日に必要量まで届かないことがある。
あなたはどう選べばいい?
順位づけできる話ではないので、条件で分けたい。日々の食事で足りているなら、無理にパウダーを足す必要はない。 一方、忙しくてたんぱく質が届かない日や運動直後に、パウダーで手早く補うのは理にかなう。基本は食事、足りない分をパウダーで埋める——この役割分担が、いちばん現実的だ。特定の商品をすすめるものではない。
今夜の一手: 「まず1日の総量を、ざっくり数える」
明日の食事で、たんぱく質が手のひら1枚ぶん(肉・魚・卵・豆など)を毎食入れられているか、ざっと見てみよう。届いていれば、パウダーは急がなくていい。届かない日だけ、1杯で補う。主役はあくまで日々の食事と睡眠で、パウダーは脇役だ。持病や腎機能に不安があるなら、増やす前に専門家に一言相談してからで遅くない。効果には個人差があります。
