プロテイン売り場は宣伝の戦場だ。WPI推し、ソイ推し、酵素処理、独自配合。この記事は何も売らない。当サイトはサプリの商品リンクや紹介料を扱わないので、順位を付ける理由がない。その立場から、研究が実際に示している選び方の順序だけを書く。
採点しないことを先に開示する
商品名・味・溶けやすさは扱わない。 味の好みは研究で決められないし、決める必要もない。ここで扱うのは、種類(WPC・WPI・ソイ)の違いが研究上どこまで意味を持つか、だけだ。結論を先に言えば、種類の差は多くの人が思うより小さく、総量の差は思うより大きい。
種類より先に、総量が足りているか
メタ分析の答えは「総量が本質」だった。 Mortonらの2018年のメタ分析(49件のRCT・1863人)では、タンパク質補給の恩恵は1日の総摂取量が体重1kgあたり約1.62gを超えると頭打ちになり、種類やタイミングの差は総量の前では小さかったと報告されている。ISSNの指針(Jäger 2017)も、運動する人の目安を1日1.4〜2.0g/kg、1回あたり20〜40gとしている。どの粉を買うかの前に、食事とあわせてこの範囲に届いているか。届いていないなら、どの種類でも足すことに意味が出る。

「ソイは劣る」は数字と合わない
質の国際指標DIAASでは、大豆91・ホエイ(WPC)85。 Herremanらの2020年の網羅的レビューによると、DIAASが100以上の「excellent」はカゼイン117や卵101で、大豆91とホエイ85はどちらも「high」区分。大豆がホエイをわずかに上回る。「ソイは質が低い」という通説は、この数字とは合わない。ただしDIAASは単一食品のアミノ酸の質の指標であり、総量・食事全体・価格の話とは別だ。数字の意外さで今度はソイを持ち上げすぎるのも、同じ間違いをすることになる。
判定: あなたの条件で分岐する
3条件でほぼ決まる。 あなたが価格重視で長く続けたいなら、精製工程が少なく安い傾向のWPCが第一候補。あなたが牛乳でお腹がゴロゴロしやすいなら、乳糖の少ないWPIか乳由来でないソイ——ただしこの使い分けを直接検証した試験は今回照合できた範囲では見当たらないので、少量から試して体で確かめる。あなたが植物性中心の食事方針なら、ソイで質は十分に足りる。どの分岐でも、総量が届いていなければ意味が薄い。順序を守ることが、いちばんの節約になる。効果には個人差がある。
今夜の一手: 買う前に、今日の総量を数える
新しい粉を選ぶ前に、今日食べたタンパク質をざっくり数えてみる。体重×1.4gに届いていただろうか。届いていないなら、まず明日の食事に1品足す。粉はその不足分を埋める道具として、上の3条件で選べば十分だ。


