トレーニングを始めると、まず気になるのがプロテインだ。SNSの広告は「もっと摂れ」と言い、種類も多くて迷う。だが実際のところ、たんぱく質はどれくらい要るのか。飲まないと損なのか。公的な目安と研究で、境界線を引いてみる。

1日にどれくらい摂ればいい?
運動する人の多くは、体重1kgにつき1.4〜2.0gが目安だと整理されている。 国際スポーツ栄養学会(ISSN)のポジションスタンドは、運動習慣のある人の多くにとって1日1.4〜2.0g/kgで十分だとしている。体重60kgなら、おおよそ84〜120gの範囲だ。これは肉・魚・卵・豆・乳製品を組み合わせれば、普段の食事でも近づける量であることが多い。まずは自分の食事がこの範囲に入っているかを確かめるところからだ。
多く摂るほど効果は伸びる?
ある量を超えると、追加の効果は頭打ちになると報告されている。 49件のRCTをまとめた2018年のメタ分析では、総摂取量が約1.62g/kg/日を超えると、それ以上足しても追加的な効果は見られなかったとされる。つまり「たくさん飲むほど比例して良くなる」わけではない。効果は年齢やトレーニング経験でも変わるとされ、万人共通の正解値があるわけではない。効果には個人差がある。
飲むタイミングは大事?
「運動直後30分のゴールデンタイム」ほど神経質にならなくてよい、という整理が近年の主流だ。 ISSNのレビューによれば、たんぱく質を摂ったときの同化効果は運動後24時間以上続くため、最適な摂取タイミングは個人の許容度しだいだとされる。1回あたりは0.25g/kg、または20〜40gが目安とされるが、これも厳密なノルマではない。分単位のタイミングを気にするより、1日の総量を無理なく確保するほうが土台になる。
「質」はどう考える?
同じたんぱく質でも、アミノ酸の質は食品でかなり違う。 消化性必須アミノ酸スコア(DIAAS)で比べたレビューでは、卵・乳・肉などの動物性は概して質が高い一方、じゃがいもや大豆のように質の高い植物性もあると報告されている。ただしこれは単一食品の指標で、1日の食事全体では複数の食品が補い合う。神経質に一品ずつ点数を気にするより、いろいろな供給源を組み合わせるほうが現実的だ。
今夜の一手: 明日の食事を「量」で一度だけ見積もる
明日のどこか1食で、たんぱく質源(手のひら1枚分の肉や魚、卵、豆)がいくつ入るかを数えてみる。足りなければ1品足す。パウダーを買い足す前に、まず皿の上の総量で現在地を確かめる。

