トレーニングを始めると、プロテイン売り場で足が止まる。ホエイが定番だけれど、大豆やえんどう豆の植物性も並んでいる。「植物性は効きが劣る」という声も聞く。本当にそうなのか。売り込みではなく、研究の範囲で正直に並べてみたい。
植物性はホエイに「負ける」のか?
ロイシン量をそろえると、大豆とホエイで筋肉量や筋力の伸びに大きな差は出なかったと報告されている。 Lynch らが 2020 年に報告した無作為化試験では、未訓練の若年成人が週 3 回・12 週の筋力トレーニングを行い、ロイシン 2g にそろえたホエイまたは大豆をとった。両群とも除脂肪量が +1.54kg 増え、脚の力も伸び、群間に差はなかった。ポイントは「ロイシンをそろえた」ところにある。大豆はホエイよりロイシンが少なめなので、量をやや多めにして条件をそろえた設計だ。
えんどう豆プロテインはどうか?
えんどう豆プロテインも、ホエイと同程度の上腕の伸びを示したと報告されている。 Babault らが 2015 年に報告した二重盲検の試験では、男性 161 名が 25g のえんどう豆・ホエイ・プラセボのいずれかを 12 週のトレーニングと併用した。上腕二頭筋の厚みは全体で増加し(24.9→27.3mm)、えんどう豆とホエイの差は有意ではない傾向にとどまった。もっとも、これは若い男性が対象で、群間差を厳密に見分けるには規模が足りない面もある。ここは読み違えやすいところで、これは「同等だと証明された」ではなく「差が見つからなかった」という状態だ。検出力の限界も原著に併記されている。
何が違いを生むのか?
植物性は必須アミノ酸、とくにロイシンが少なめな傾向があるが、幅は広い。 Gorissen らの 2018 年の成分分析では、植物性アイソレートのロイシン含量は麻の 5.1% からトウモロコシの 13.5% まで幅があり、乳の 9.0% を下回るものが多かった。ただしトウモロコシのように乳を上回る植物もあり、「植物性は一律にロイシンが少ない」とは言い切れない。18 件の試験をまとめた 2021 年のメタ分析でも、動物性と植物性で除脂肪量・筋力の変化に大きな差はなく、50 歳未満の除脂肪量でのみ動物性がわずかに有利(重み付き平均差およそ 0.41kg)だった。差があるとしても小さい、というのが今の見え方だ。効果には個人差がある。
あなたはどう選べばいい?
順位づけできる話ではないので、条件で分けて考えたい。乳製品が合って手軽さや溶けやすさを重視するなら、ホエイが無難だ。 一方、乳を避けたい・植物性で通したいなら、大豆やえんどう豆を、量を少し多めに意識して選ぶとよい。欠点も正直に言えば、植物性はロイシンが少なめな分だけ必要量がやや増えやすく、製品によっては味や口当たりに好みが分かれる。逆にホエイは乳糖が合わない人には向かない。どちらが「勝ち」ではなく、体質と続けやすさで選ぶのが理にかなう。特定の商品をすすめるものではない。
今夜の一手: 「合うほうを、続けられる量で」
明日の一杯は、勝ち負けで選ばない。乳が合うならホエイ、避けたいなら植物性——自分の体質に合うほうを選び、植物性なら量を少しだけ多めに。プロテインはあくまで一日全体のたんぱく質を補う脇役で、主役は日々の食事と睡眠だ。持病やアレルギーがあるなら、足す前に専門家に一言相談してからで遅くない。効果には個人差があります。
