トレーニング後、棚に並んだBCAAとプロテインを見比べる。片方は手軽で、もう片方は定番。どちらを選べば、努力が無駄にならないのか。売り文句ではなく、研究がどちらを支えているかで整理していく。

BCAAを単独で摂れば、それで十分なのか?
BCAAだけで筋づくりの反応が十分に起きる、という主張は、レビューでは根拠が乏しいとされている。
2017年のWolfeのレビューは、食事由来のBCAAを単独で摂ることで筋タンパク質合成が十分に刺激される、という考えを検討した。結論は慎重だ。BCAAだけを与えたヒトの研究では合成がむしろ低下した例もあり、必須アミノ酸が全体としてそろっていることが前提だと論じている。これは「BCAAは無意味」という否定ではない。「単独では土台になりにくい」という限定だ。効果や反応には個人差がある。
では、何を軸にすればいいのか?
別のメタ分析は、たんぱく質は「総量」が本質だと整理している。
2018年のMortonらのメタ分析(49件のRCT・N=1863)は、レジスタンス運動時のたんぱく質補給を調べ、総摂取量が約1.62g/kg/日を超えると除脂肪体重の追加の増加は見られなかったと報告した。言い換えれば、まず効いてくるのは特定のアミノ酸単独より、一日で足りているかどうかの総量だ。ISSNのポジションスタンド(Jäger 2017)も、運動する多くの人には1.4〜2.0g/kg/日、1回あたり20〜40g(または0.25g/kg)を目安に挙げている。
だから選び方はこうなる。**あなたが「まず土台から」なら、全体のたんぱく質を軸にする。**食事で総量が足りていて、味・飲みやすさ・運動中の水分補給といった目的がはっきりあるなら、BCAAを補いに足す。順番を逆にしないことだ。
今夜の一手: まず一日の総量を数えてみる
サプリを選ぶ前に、今日のたんぱく質がだいたい足りているかをざっくり数える。土台が足りていないなら、単独アミノ酸より全体のたんぱく質が先。目的が明確なら補いを足す。持病がある人は専門家へ。効果には個人差があります。


