「1食のタンパク質は20〜30gまで。それ以上は無駄になる」。ジムでもネットでも、よく聞く話だ。だから一度に食べる量を細かく気にして、逆に疲れてしまう人もいる。この「上限」は本当にあるのか。一次情報まで戻って確かめる。
「20〜30gが上限」は裏づけられている?
少なくとも運動後については、裏づけられにくい。 訓練経験のある男性30人を対象にした二重盲検クロスオーバー試験では、全身のレジスタンス運動の後、20gより40gのホエイを摂ったほうが筋タンパク質合成の応答が大きかったと報告されている。しかも、除脂肪量の多い人でも少ない人でも用量による差の向きは同じだった。「体が使えるのは1回20〜30gまで」という固定の上限は、この結果とは噛み合わない。ここでも効果には個人差がある。
量より「配り方」の話ではないのか?
配り方でも結果は変わる、という報告がある。 12時間で合計80gのタンパク質を配分した試験では、10gを何度も摂る少量頻回でも、40gを2回に集中させる大量集中でもなく、20gを3時間おきに分ける中間的な配り方が、筋原線維タンパク質合成をもっとも高めたと報告されている。つまり「1食に寄せる」か「散らす」かの最適は状況次第で、単純な上限の話に落とし込めるものではない。
では、何を見ればいい?
1食の上限より、一日の総量を見る。 49件のRCTをまとめたメタ分析では、タンパク質の総摂取量が体重あたり約1.6gを超えると、除脂肪体重の追加の増加が頭打ちになる傾向が報告されている。効果は年齢や運動歴で変わる。だから「この1食で使い切れたか」を毎回気にするより、一日を通してどれくらい摂れているか、その配り方を無理なく続けられるかを見るほうが、現実的で気も楽になる。
今夜の一手: 「使い切れたか」を数えるのをやめる
もし1食ごとのグラム数に気を張って疲れているなら、今夜はその数え方をいったん手放す。夕食にタンパク質を一品足せたか、明日の朝に卵か乳製品を置けそうか——一日単位のざっくりした見え方に切り替える。上限を恐れて小刻みに管理するより、続く形に寄せたほうが、結局は積み上がる。

