眠れない夜、棚のオメガ3に手が伸びる。魚の油は心にいい、とどこかで読んだ気がする。だが「予防のために飲む」という使い方を、研究はどこまで支えているのか。

深夜にオメガ3のカプセルを手のひらに乗せて見つめる人のイラスト

大規模な試験は、うつの予防に効果を見つけたのか?

予防を目的にした大規模RCTでは、オメガ3がうつを防ぐという結果は得られなかった。

2021年に報告されたVITAL-DEPは、50歳以上の1万8353人を平均5.3年追った二重盲検の試験だ。海洋性オメガ3を1日1g摂る群とプラセボ群を比べたところ、うつや臨床的な抑うつ症状の発症リスクはオメガ3群でむしろわずかに高く(ハザード比1.13)、気分スコアの変化にも差はなかった。著者は、うつ予防のためのオメガ3補給を支持しないと結論している。効果や反応には個人差がある。

この結果を、どう受け取ればいいのか?

「効かない」ではなく「予防の万能薬ではない」と読むのが正確だ。

この試験が調べたのは、症状のない集団に予防目的で一律に補給する場面だ。魚を含む食事の栄養そのものや、医師の判断で医療に用いる場面までを否定するわけではない。ただ、サプリを一本足せば気分が守られる、という期待は、この結果とは合わない。落ち込みが続くときに先に整えたいのは、睡眠と食事と生活のリズムという土台のほうだ。

今夜の一手: サプリより先に、今夜の眠りを一つ整える

オメガ3を注文する前に、寝る前のスマホを一度だけ手放してみる。予防の効果がはっきりしないものに頼るより、土台を一つ整えるほうが確からしい。落ち込みが2週間以上続くなら、サプリの是非で迷わず医療機関へ。効果には個人差があります。