夜遅く、台所の棚でEPAとDHAと書かれた二つの瓶を前に手が止まる。同じ魚由来なのに名前が違う。どちらを選べばいいのか、調べるほど話が食い違って余計に迷う。取り戻したいのは、数値そのものより、朝の身軽さや落ち着いて過ごせる時間のほうだ。EPAとDHAは何が違うのか。断定できることとできないことを、研究に沿って正直に切り分けていく。

一つの黒い器から異なる形の二本の白い流れが分岐する静物画像

EPAとDHAは、体の中で同じ働きをするのか?

研究では、EPAとDHAはどちらも中性脂肪を下げるが、血中脂質への作用は分かれると報告される。

Wei と Jacobson(2011)は、ランダム化比較試験を集めたシステマティックレビューとメタ分析で、EPA単独10件・DHA単独17件・両者を直接比べた6件を整理している。そこでは、EPAもDHAも中性脂肪を下げる点は共通していた。名前は違っても、どちらも同じ魚由来のオメガ3という土台を持つ。ただし全部が同じではない。両者の効き方には重なる部分と分かれる部分があり、どちらか一方が万能というわけではない、という程度に受け止めておくのが正直なところだ。効果には個人差がある。

中性脂肪やコレステロールへの効き方はどう違うのか?

同じオメガ3でも、直接比較ではDHAの中性脂肪の下げ幅がやや大きく、HDLやLDLの動きも分かれると報告される。

同じ分析によると、両者を直接比べた試験では、中性脂肪を下げる幅はDHAのほうがやや大きかった。一方でDHAは、プラセボと比べてHDL、いわゆる善玉を4.49mg/dL(95%CI 3.50-5.48)上げ、LDLも7.23mg/dL(95%CI 3.98-10.5)上げていた。対してEPAはHDLを上げず、LDLは有意でない低下にとどまった。つまり「DHAが全面的に上」でも「EPAが不要」でもない。下げる数字と上がる数字が成分ごとに違う、という読み方が実態に近い。反応には個人差がある。

では、何を軸に選べばいいのか?

優劣を決めるより、自分が何を重く見るかで役割の分担として捉えるほうが現実的だ。

我々が向き合っているのは、どちらが勝ちかという勝負ではなく、成分ごとに役割が違うという事実のほうだ。中性脂肪の数字をとくに重く見るならDHA寄りを目安にする手はあるし、そもそも土台は日々の食事にある。魚を食べれば両者は自然に一緒に入ってくる。サプリはその上に乗る要素にすぎない。種類選びで固まって続かなくなるより、食事という土台を整えたうえで無理なく続けられる形を選ぶほうが、細かな数字より効いてくることが多い。血中脂質に不安があるなら自己判断で選ばず、専門家に相談してほしい。効果には個人差がある。

今夜の一手: 迷いを一つだけ手放す

種類で固まる前に、今夜確かめるのは「最近、魚を食べられているか」という土台のほう。中性脂肪を重く見る人はDHA寄りを目安に、それ以外は両方入った形でも構わないと捉えて、忘れにくい続け方を選ぶ。数字の不安が強いときは自己判断で増やさず専門家へ。優劣ではなく役割の分担として、肩の力を抜いて選べばいい。効果には個人差があります。