深夜、通販アプリのカゴに派手なラベルのサプリが並んでいる。「これも効くらしい」で増えていくが、翌朝には何を頼んだのかも曖昧だ。そこで一度、宣伝でも体感でもなく「研究の厚み」だけで冷たく格付けしてみる。

格付けの基準は「効く体感」ではなく「研究の厚み」
この格付けの物差しは1つだけ——査読研究の量と、結論の一致度だ。
「飲むと調子がいい気がする」は今回採点しない。体感は本物でも、他の要因と切り分けにくいからだ。売れ筋やSNSの評判も外す。見るのは「複数の研究が同じ方向を指しているか」だけ。だから、この表は「あなたに必要な順」ではなく「研究が厚い順」だと最初に断っておく。効果には個人差があります。
S・Aランク: クレアチンと、たんぱく質
研究が最も厚いのはクレアチン。次いで、たんぱく質の総量だ。
Kreider et al. 2017は、国際スポーツ栄養学会(ISSN)が文献を総括したポジションスタンドで、クレアチン一水和物を高強度運動の成績とトレーニング適応を高める最も効果的なものの一つと位置づけている。最大30g/日・5年までの使用が健常者で安全と報告されており、安全性の研究も厚い。
たんぱく質は「何を足すか」より「1日の総量」が主役だ。Morton et al. 2018のメタ分析(49件のRCT・1,863人)は、総摂取量が約1.62g/kg/日を超えると除脂肪体重の追加の増加は見られなかったと報告している。つまりプロテインは魔法の粉ではなく、食事で足りない総量を埋める道具、という位置づけになる。
B・Cランク: βアラニンの限定用途と、BCAAの意外な低さ
用途が狭ければB、単独では根拠が乏しければC、という基準で下がる。
βアラニンはBランク。Trexler et al. 2015(ISSNポジションスタンド)は、4〜6g/日を数週間続けると筋カルノシンが増え、1〜4分持続の高強度運動で成績改善が最も顕著だと報告している。効くのは事実だが「1〜4分の高強度」という条件が狭いので、万能ではない。
意外なのがBCAA。定番の割にCランクだ。Wolfe 2017のレビューは、BCAA(3種のアミノ酸)だけを摂っても筋タンパク質合成を十分に刺激するという主張は根拠が乏しく、必須アミノ酸全体の供給が前提だと結論している。たんぱく質が足りていれば、単独で足す優先度は下がる、という読み方になる。
なお覚醒目的のカフェインは「別カテゴリ」だ。睡眠不足時の注意や反応を後押しする研究はあるが(Irwinらのメタ分析)、体づくりそのものの話とは分けて考えたほうが混乱しない。
今夜の一手: カゴの中身を「土台」と「研究の厚み」で1つ選び直す
今夜やるのは、買い足しではなく引き算だ。
- 通販のカゴを開き、今の候補を「食事・睡眠の土台があるか」で一度見直す(約20秒)
- 足すなら、研究が厚い上位から1つだけ残し、体感頼みの1つを外す
サプリは土台の上に少し足すものだ。研究の厚みで選び直せば、夜のカゴはずっと軽くなる。取り戻した気力は、まず食事と睡眠という一番効く土台に向ければいい。


