深夜、糖分の入っていない緑茶に切り替える。「カテキンが代謝を上げる」という話を思い出して、少しだけ得をした気になる。だが本当に代謝は上がるのか、上がるとしてどのくらいなのか。一次情報まで戻って、数字の大きさを確かめてみる。
カテキンで、代謝はどのくらい動く?
動いたという報告はあるが、その幅は小さい。 呼吸チャンバーを使った研究のメタ分析では、カテキンとカフェインの組み合わせが24時間のエネルギー消費量を用量依存的にわずかに増やし、脂肪酸化の有意な増加は組み合わせのときにだけ見られたと報告されている。健常男性10人を対象にした小さなクロスオーバー試験でも、緑茶抽出物が消費量と脂肪酸化を高めうるとされた。方向としては「増える」だが、日常の体重を動かすほどの大きさとは書かれていない。ここでも効果には個人差がある。
それは「カフェインの効果」と切り離せている?
完全には切り離せていない、というのが正直なところだ。 緑茶にはカフェインも含まれる。研究の一部はカフェイン単独の条件と比べて、カテキン側の上乗せを見ようとしているが、EGCG単体を調べたパイロット研究では、安静時の脂肪酸化に影響しうる一方でエネルギー消費量への効果は限定的だったと報告されている。つまり「カテキンだけの手柄」と言い切れる根拠は、まだ弱い。ここで「根拠が薄い」ことと「効かないと否定された」ことは別だが、期待を先走らせる理由にもならない。
だから、どう付き合う?
数字のためでなく、続けやすさで選ぶ。 代謝を大きく変える飲み物として緑茶に賭けると、期待は裏切られやすい。一方で、甘い飲み物を一杯置き換える、温かいお茶で手を止めて一息つく——そうした行動そのものには、研究の効果量とは別の価値がある。カテキンの上乗せは「あればうれしい小さなおまけ」くらいに見積もっておくと、がっかりせずに済む。
今夜の一手: 期待の目盛りを下げて一杯
もし今夜、代謝を上げたくて緑茶に手を伸ばすなら、期待の目盛りを一段下げてから飲む。「これで代謝が変わる」ではなく「甘い一杯を一つ減らせた」でいい。小さく確かな置き換えのほうが、続く。数字は、続けた先についてくるかもしれないおまけとして待つ。


