眠れない夜が続くと、人はまず「足すもの」を探す。棚に並ぶ小瓶のほうが、行動として分かりやすいからだ。でも同じ夜には、もうひとつの選択肢がある。減らすことだ。この二つを、同じ土俵に並べてみる。
採点基準を先に開示する
採点するのは二つだけだ。その主張を直接調べた試験があるかと、報告された効果がどれくらいか。研究のデザイン(メタ分析か単一のランダム化試験か)と、原著が効果をどう表現しているかを見る。
採点しないものも先に書いておく。体感、売れ筋、値段、続けやすさ。これらは大事だが、研究の厚みとは別の話なので、ここでは混ぜない。
減らす側: カフェインを抜くと、何が確かめられているのか?
就寝6時間前の400mgでも、客観的に測った総睡眠時間が1時間以上減ったと報告されている。 12人を対象にした試験で、しかも参加者はその乱れを自覚していなかった。
ここが重要だ。これは「カフェインを減らせば眠れる」の証明ではない。だが「夜に残っているものが、実際に睡眠時間を削っている」ことを直接測った試験ではある。減らす側には、この直接性がある。
足す側: サプリでどこまで戻るのか?
19研究・約1,683人のメタ分析では、メラトニンは入眠までの時間の短縮・総睡眠時間の増加・睡眠の質の改善と関連した。 研究の本数という意味では、こちらのほうが積み上がっている。
ただし原著は、その効果を中程度(modest)と表現している。研究の数は多いが、一回あたりの手応えは控えめだ、と読むのが誠実なところになる。
さらに制度の側も見ておきたい。棚に並ぶものの多くは食品に区分され、機能性表示食品は事業者が根拠を届け出る届出制で、国が個別に審査するわけではない。何を買うかによって、背後にある根拠の確かめられ方が変わる。
判定: あなたが何を先に動かせるかで変わる
- 夕方以降にカフェインを摂っている自覚があるなら、減らす側が先だ。直接の試験があり、費用もかからず、今夜から試せる。
- すでに夕方以降はカフェインを摂っていないなら、減らす側の伸びしろは小さい。足す側を検討する余地がある。
- どちらも試して変化がないなら、原因は別にあるかもしれない。状態が続くなら医療機関へ相談してほしい。
順位は効果の保証ではない。ここで比べたのは研究の厚みであって、あなたの夜に何が効くかではありません。効果には個人差があります。
今夜の一手: 減らす側を、一杯だけ試す
明日の午後、最後の一杯を一つ前の時間帯に動かす。それだけでいい。棚の前に立つのは、そのあとでも遅くない。

