作業を切り上げたいのに、もう一杯だけコーヒーを淹れてしまう夜がある。ネットでは「L-テアニンを一緒に摂ればカフェインの尖りが取れて、落ち着いて集中できる」という話をよく見かける。都合のいい響きだ。だが本当にそうなのか、一次情報まで戻って確かめてみる。

カフェインとテアニンを見比べる手元

L-テアニン単体では何が報告されている?

小規模なRCTで、睡眠の質やストレス関連スコアの改善と関連したという報告がある。 健康な成人30人を対象にした二重盲検クロスオーバー試験では、L-テアニン200mgを4週間摂ると、睡眠の質(PSQI)やストレス関連の指標が良い方向に動いたと報告されている。ただしこれは規模が小さく、単発の試験に近い。「効いた人がいた」ことと「誰にでも効く」ことは別で、ここでも効果には個人差がある。過度な一般化は避けたい。

カフェイン側は夜にどう働く?

覚醒には役立つが、夜は自覚のないまま眠りを削る。 睡眠不足の状況では、カフェインが注意や反応時間などの成績を補ったという系統的レビューがある。一方で、400mgのカフェインは就寝の6時間前に摂っても客観計測の総睡眠時間を1時間以上減らし、しかも本人はその乱れに気づいていなかったという報告もある。日中の眠気を一時的に覆い隠す力はあるが、夜に足せば翌日の眠りと引き換えになりやすい。

「組み合わせ」の効果はどこまで確かか?

我々が確認できた一次情報の範囲では、組み合わせを強く裏づける質の高い試験はまだ限られる。 よく語られる「テアニンがカフェインの尖りを丸め、落ち着いた集中を作る」という筋書きは、直感的で魅力的だが、我々の台帳(確認済みの一次情報)では断定できるほどの根拠を置けていない。ここで「根拠が薄い」ことと「否定された」ことは違う。分かっていないだけで、悪いと決まったわけではない。だからこそ、期待を先走らせずに扱う。

今夜の一手: 足す前に、引く

もし今夜、集中したくてカフェインを足そうか迷っているなら、まず引く側を考えてみる。画面の通知を切る、机の上を片づける、明日に回せる作業を一つ手放す。成分を足して底上げする前に、集中を削っているものを減らすほうが、眠りを担保にしなくて済む。テアニンもカフェインも、その次に置く選択肢でいい。