取り戻した時間を、からだを動かすことに使い始めた。クレアチンを試そうとサプリの棚に立つと、モノハイドレート、HCl、バッファー型、エステル型と種類が並んでいて、どれが「上位版」なのか分からず手が止まる。選ぶ物差しを、値段でも新しさでもなく、研究の厚みに置いてみる。

物差しを先に決める——研究の蓄積の厚み
選ぶ基準は「どの型が、直接調べた研究をどれだけ積み上げているか」にする。 「新しい」「吸収が良いらしい」といった売り文句は、期待や思い込みと切り分けにくい。だから比べるのは宣伝の強さではなく、裏づけの量だ。ここで大事な区別を先に置く。「根拠が薄い」と「否定された」は違う。 ある型に比較研究が少ないことは、劣ると証明されたことを意味しない。分けて扱う。効果には個人差がある。
なぜモノハイドレートが基準になるのか
検証の蓄積が最も厚く、安全性のデータも豊富だからだ。 Kreiderらの2017年のISSNポジションスタンド(文献レビュー)は、クレアチン一水和物(モノハイドレート)を、高強度運動の成績とトレーニング適応を高める最も効果的な補助手段の一つと位置づけている。加えて、健常者で最大30g/日・5年までの使用が安全で忍容性が高いと報告している。長く広く調べられてきたぶん、「何が分かっていて何が分かっていないか」がはっきりしている——これが基準になる理由だ。
他の型は「劣る」のか、「未確立」なのか
多くは、劣ると否定されたのではなく、優位を言い切るだけの比較研究がまだ薄い段階にある。 Antonio 2021のレビューも、モノハイドレートを最も広く研究された型として扱っている。HCl型やバッファー型は「水太りしにくい」「少量で足りる」とうたわれることがあるが、直接比較でモノハイドレートを明確に上回ると示した研究は、現時点で厚いとは言えない。飲み心地や溶けやすさの好みで選ぶのは構わない。ただしそれは「効果が上だから」ではなく「好みだから」だと自覚しておくと、期待とのずれを避けられる。
あなたなら、どう選ぶか
物差しが決まれば、選び方は分岐する。
- 研究の裏づけを重視するなら——基準はモノハイドレート。分かっていることの量が最も多い。
- 飲み心地や溶けやすさの好みを優先したいなら——他の型を試す選択もある。ただし「好みで選んだ」と自覚しておく。
- 腎臓に持病がある・通院中なら——型の議論の前に、まず主治医に相談する。ここは自己判断の外だ。
どの型でも、サプリは土台(食事と運動と睡眠)の上に乗るものだ。効果や反応には個人差がある。
今夜の一手: 棚の前で「物差し」を思い出す
今日いじるのはカートではなく、選ぶときの基準だ。
- 気になる型を1つ思い浮かべる(約10秒)
- その良さは「研究で確かめられたこと」か「売り文句」か、一度だけ問い直す
答えが宣伝寄りなら、基準に戻ればいい。迷ったときにモノハイドレートへ戻れること自体が、選択を軽くする。


