以前は一杯で頭が冴えたのに、今は同じ量でも物足りない。だから二杯目に手が伸びる——この「効きの鈍り」は、カフェイン耐性と呼ばれる現象かもしれない。ネットには「〇日抜けばリセット」という話も多い。だが、その数字はどこまで確かめられているのか。実験を一本、丁寧に読んでみる。

湯気の量が異なる二杯のコーヒーと次第に小さくなる波の静物画像

カフェインの効きは、本当に鈍るのか?

毎日多めにとり続けると、主観的な効きに慣れ(耐性)が生じたと報告されている。

Evans & Griffiths(1992)は、健康な成人32人を対象に、カフェイン300mgを1日3回(計900mg/日)18日間とる群と、プラセボをとる群に分けて比較した。その後カフェインを投与したところ、プラセボを続けていた群では緊張・不安・そわそわ感などの主観的効果が現れたのに対し、カフェインを続けていた群ではそうした効果がほとんど出なかった。つまり、日常的に多くとっていた人ほど、同じ量では体が動じなくなっていた。これが「効きの鈍り」の正体で、体がその量に慣れていた反応と読める。

「休めばリセットできる」は本当か?

慣れが起きることは示されたが、何日休めば完全に元へ戻るかは、この実験では確かめられていない。

ここが、よく誤解されるところだ。この研究が示したのは「続けると慣れる」ことであって、「やめれば何日で戻る」ことではない。「一週間でリセット」といった具体的な日数は、しばしば語られるが、少なくともこの実験からは断定できない。体の適応が薄れていく方向はありうるとしても、その速さや程度には幅がある。だから「〇日でリセット」という数字は、確定した事実ではなく目安として眺めるのが正直だ。反応には個人差がある。

効きが鈍ったと感じたら、どうすればいいのか?

量を増やし続けるより、一度減らす・間隔をあけるほうが、付き合い方としては穏やかだ。

効きが鈍ったとき、量を足せば一時的には戻るかもしれない。だが体はまたその量に慣れていくし、摂取量が多いほど、やめたときの頭痛などの離脱も出やすくなる。取り戻したいのは冴えた集中であって、増え続ける杯数ではないはずだ。そう考えると、増やすより「いったん間隔をあけて、体の反応を眺める」ほうが、長い目では扱いやすい。動悸や頭痛が続くときは自己判断せず医療機関へ。反応には個人差がある。

今夜の一手: 明日の午後、一杯だけ抜いてみる

リセットを狙って今日から断つ必要はない。決めるのは、明日の午後の一杯を「抜いてみる」か「いつもどおり」にするか、それだけ。体の反応がどう変わるかを、数字ではなく自分の感覚で確かめる小さな実験だ。不調が続くときは無理をせず専門家へ。反応には個人差があります。