夕方にコーヒーを飲んでも平気な人がいる。同じ一杯で、その夜まったく眠れなくなる人もいる。意志の強さの話ではない。国際スポーツ栄養学会のポジションスタンドは、この差がどこから来るのかを整理している。

効き方の差は、どこから来るのか?

ポジションスタンドは、反応の個人差が遺伝的変異とカフェイン代謝、そして習慣的な摂取量に起因しうると整理している。 同じ文書は、運動成績に対しては体重1kgあたり3〜6mg、最小有効量は2mg程度とし、注意や覚醒といった認知機能にも有効と報告している。

つまり「何mgが正解か」は、体重だけでなく、代謝の速さと日ごろどれくらい飲んでいるかで動く。他人の適量をそのまま借りても、自分の夜には合わないことがある。

「慣れ」は、どれくらい効きを鈍らせるのか?

日ごろ飲む量が多いほど、主観的な効果は現れにくくなると報告されている。 健康な成人32人を対象にした試験では、300mgを1日3回(合わせて900mg)18日間続けた群は、その後カフェインを投与されても緊張・不安・そわそわ感といった主観的な効果がほとんど現れなかった。同じ300mgでも、プラセボを続けた群では緊張や不安が生じている。

ここで気をつけたいのは、この試験が確かめたのは「慣れが生じること」までだという点だ。どれくらい休めば元の効きに戻るのか、その日数は検証されていない。「何日抜けばリセットできる」という話をよく見かけるが、今回照合できた範囲では、それを直接調べた試験は見当たらなかった。

自覚が当てにならないのはなぜか?

眠れているという感覚と、実際に測った睡眠は、ずれることがある。 400mgのカフェインを就寝6時間前に摂った試験では、客観的に測った総睡眠時間が1時間以上減った。にもかかわらず、参加者はその乱れを自覚していなかったと報告されている。

効き方の個人差を確かめようとするとき、体感だけを頼りにすると、この「気づかない目減り」を見落とす。判断材料は、飲んだ夜の寝つきや翌朝の状態のほうに置きたい。効果には個人差があります。

今夜の一手: 自分の「残り方」を、一日だけ測る

明日は、最後の一杯を飲んだ時刻をメモしておく。そして翌朝、起きたときの状態を一行だけ書く。これを何日か重ねると、自分の体では何時が境目なのかが見えてくる。他人の目安より、その一行のほうが自分には当てになる。