眠れない夜、検索窓に「落ち着く サプリ」と打つ。テアニンという成分が、やわらかい言葉とともに並ぶ。何も売らないので、研究の温度をそのまま書ける。方向は悪くない。ただし規模はまだ小さい。広告の断定と研究の実際には、はっきり差がある。
L-テアニンの研究は、どこまで言えるのか
小規模な二重盲検RCTで、睡眠の質やストレス指標の改善と関連が報告されている。 Hideseらの2019年の研究では、L-テアニン200mgを4週間とった健康な成人30人で、睡眠の質(PSQI)やストレス関連スコアの改善と関連したと報告された。二重盲検という設計は信頼性を上げる一方、30人という規模は小さく、単発の試験に近い。「方向は良いが、まだ確かめ切れていない」——これが正直な現在地だ。効果には個人差がある。

「機能性表示食品」は、国のお墨付きなのか
国が審査したのではなく、事業者が届け出た、が正確だ。 消費者庁の説明では、機能性表示食品は事業者が自らの責任で科学的根拠を消費者庁長官へ届け出る制度で、特定保健用食品(トクホ)のように国が個別に審査するわけではない。届け出られた情報は公開される仕組みだが、「効果を国が保証した」わけではない。制度の形を知っておくと、棚のパッケージの言葉に振り回されにくくなる。
買う前に、確かめておきたいこと
期待の温度を、研究の温度に合わせる。 テアニンの研究は「劇的に落ち着く」ではなく「小さな改善と関連」の水準だ。試すのは自由だが、確立していないと知った上でなら、がっかりしにくい。持病がある人や服薬中の人、妊娠中の人は、成分にかかわらず先に医師・薬剤師へ。眠れない状態が長引いてつらいなら、サプリではなく専門家に相談してほしい。効果には個人差がある。
今夜の一手: 期待を「研究の大きさ」に合わせる
今夜できるのは、成分を足す前に期待の目盛りを整えることだ。テアニンは「小さな改善が報告されている成分」と覚え、過度な救いを預けない。そのうえで、就寝前にスマホを机に置く0円の工夫を4週間試す。効き目を確かめる実験は、いちばん安上がりなものから始めればいい。


