外食やコンビニで済ませる日が続くと、「せめてマルチビタミンでも」と手が伸びる。保険をかけたような安心感がある。だが、その安心はどこまで研究に裏づけられているのか。都合よく信じる前に、一次情報まで戻って期待の置きどころを確かめておきたい。

そもそもビタミンとは何をするもの?
微量で体の機能を調整する栄養素で、まずは食事から摂るのが基本とされる。 公的な解説では、ビタミンは脂溶性(A・D・E・K)と水溶性に大別され、それぞれ体の働きを支えると説明されている。不足すれば不調につながる一方、必要量はそれほど多くない。だから「たくさん摂るほど良い」わけではなく、食事という土台で足りているかがまず問われる。ここを飛ばしてサプリだけを足しても、効果は見えにくい。
大規模試験は何を示した?
ビタミンD補給では、抑うつの発生や気分にプラセボとの差はなかったと報告された。 50歳以上の1万8千人余りを対象にした大規模なランダム化試験では、ビタミンD3を1日2000IU、中央値で5.3年にわたって補給しても、抑うつ症状の発生・再発や気分スコアにプラセボとの有意差は見られなかった。低い血中濃度だった人を含むサブグループでも同様だったという。不足を補うことと、気分への効果を期待することは、分けて考える必要がある。効果には個人差がある。
「保険」の期待をどう置く?
期待は持ちすぎず、健常者では効果が限定的な場面もあると知って選ぶ。 サプリを否定する話ではない。ただ「飲んでいるから大丈夫」という安心が、食事や睡眠の乱れを見えなくしてしまうと、かえって遠回りになる。土台が整っているかを先に確かめ、そのうえで足りない部分を補う——順番を逆にしないことが、限られた研究から言える現実的な構えだ。
今夜の一手: 「今週の食事」を一つ思い返す
サプリの前に、この一週間で緑や豆、魚をどれくらい摂れたかを一つ思い返してみる。抜けている土台が見えたら、まずそこを一品足すほうが確実だ。必要なら、持病や服薬の有無も含めて専門家に相談して決めればいい。効果には個人差があります。

