夜のあいだ、部屋は静かに暗いままだった。カーテンを開けると、朝の光がゆっくり床に伸びてくる。特別なことは何もしていないのに、その明るさに少しだけ肩の力がゆるむ——そんな朝が我々にはある。

黒い机を横切る細い光が白いカップを照らす静物画像

朝の光は気分と関係があるのか?

研究では、一定期間まとまった明るい光を浴びた群で、気分の落ち込みがやや和らぐ傾向が報告されている。ただしこれは平均的な傾向で、効果には個人差があります。

光は体内時計を整える入力として知られているが、近年は「気分・感情」との関連も調べられてきた。眠りやリズムだけでなく、日中の気持ちの安定という側面から光を見直す視点だ。とはいえ、光を浴びれば気分が明るくなると断定できるほど単純ではない。感じ方は人によって差があり、そのときの体調や生活の状況にも左右される。

どんな研究があるのか?

非季節性の抑うつを対象にした臨床試験を統合したメタ分析で、光を浴びた群の落ち込みが対照より低い傾向が示された。

参考になるのが、Al-Karawiらが2016年に Journal of Affective Disorders で発表したメタ分析だ。これは非季節性の抑うつを対象にした複数のランダム化比較試験を統合して、明るい光を浴びる介入と対照群を比べたものだ。統合した結果、光を浴びた群では落ち込みの指標が対照より低くなる傾向が示され、効果量は標準化平均差でおよそ -0.62と、中くらいの大きさだった。単独で用いた場合や2〜5週間の実施でより明確だったとも報告されている。

ここで正直に押さえておきたい点がある。第一に、これは気分の落ち込みを抱えた人を対象にした臨床試験であり、健康な人の日常そのままを示すものではない。第二に、統合された試験ごとに光の強さや時間、条件はばらつきがあり、著者自身も方法の標準化が今後の課題だと述べている。だから「光と気分に関連がありそうだ」という手がかりとして受け取り、疾病への対処を約束するものとは切り離して考えるのが誠実な読み方だ。

気をつけたいこと

これは光と気分の関連を調べた研究の紹介であって、医療や専門的なケアの代わりではない。

気分の落ち込みが長く続いたり、眠れない・日常に支障が出るといったときは、光に頼るより先に医療機関など専門家に相談してほしいと我々は考えている。効果には個人差があるし、無理に強い光を長く浴びる必要もない。あくまで、朝の生活に光をそっと取り入れる程度の距離感が現実的だ。

今夜の一手: 明日の朝、まずカーテンを開けて光を浴びる

明日の朝、起きたらまずカーテンを開けて、窓辺で数分だけ外の光を浴びる時間を決めておく。スマホは後回しにして、光と一日の始まりを先に受け取ってみる。