夜のスマホがやめられない人に「白黒にしてみたら」と言うと、だいたい笑われる。そんな小手先で、と。でもこれ、実験で試した研究者がいる。

カラーと白黒のスマホ画面を対比したイラスト

スマホを白黒にすると、本当に使用時間は減る?

減ったという報告がある。 112人を対象にした無作為化比較試験(RCT)で、画面をグレースケールに設定した群はスマートフォンの使用時間が減少したと報告された(Cyberpsychology, Behavior, and Social Networking, 2023)。

もちろん効果の大きさは人によって差があるし、これ1つで夜が変わるとは言えない。ただ、コストがほぼゼロであることがこの手の価値を決める。設定は1分。気に入らなければ10秒で戻せる。試さない理由のほうが少なくない?

なぜ色を消すだけで効くのか

アプリの画面は、色で「触りたさ」を作っている。通知バッジの赤、サムネイルの彩度、「いいね」の暖色。どれも偶然その色なのではなく、目を引き、報酬を予感させるための設計だ。

グレースケールはこの報酬の合図を一括で消す。アプリの機能は何も変わらないのに、開いたときの「引力」が下がる。我慢と違って意志力を使わないのがポイントで、画面のほうが勝手に退屈になってくれる。

設定手順(1分)

iPhoneの場合

  1. 設定 → アクセシビリティ → 画面表示とテキストサイズ → カラーフィルタ
  2. 「カラーフィルタ」をオン → 「グレイスケール」を選択

ワンタッチで切り替えたい場合は、設定 → アクセシビリティ → ショートカット で「カラーフィルタ」にチェック。以後、サイドボタンのトリプルクリックで白黒⇄カラーを切り替えられる。

Androidの場合

  1. 設定 → Digital Wellbeing → おやすみ時間モード(ベッドタイムモード)で「グレースケール」をオン(就寝時間に自動で白黒になる)
  2. 常時白黒にしたい場合は、設定 → ユーザー補助 → 色と動き(色補正)からグレースケールを選択(機種により名称が異なる)

続けるコツは?

おすすめは**「夜だけ白黒」**。21時や22時に自動でグレースケールになるよう、iPhoneはショートカットのオートメーション、AndroidはDigital Wellbeingの就寝時間設定を使う。

日中はカラーで普通に使い、夜だけ画面の温度を下げる。夜のスマホと戦うのではなく、夜のスマホをつまらなくする、という発想だ。

もっと確かな一手はあるのか?

「開く前に一手間を挟む」ほうが、一次エビデンスは厚めだ。

Grüningらの2023年の研究(PNAS・N=280)は、アプリを開く前にほんの一手間(摩擦)を挟むだけで、対象アプリの起動が6週間で約57%減ったと報告している。手間を増やすと行動が減る、というシンプルだが確かめられた仕組みだ。

白黒化も、突きつめれば「開く楽しさを少し削る」という摩擦の一種と読める。だから二つは競合しない。まず一番手軽な白黒を今夜試して、物足りなければSNSアプリをホーム画面の奥へ移す、ログアウトしておく、といった一手間を足す。効果の確かさは、後者のほうが厚い。効果には個人差があります。