「マグネシウムは酸化物だと吸収されにくい」。そんな話を、どこかで見聞きした人は多いだろう。棚に並ぶサプリの成分表には、酸化物やクエン酸、キレートといった言葉が小さく書かれている。同じマグネシウムなのに、形が違うと体に入る量も違うのか。静かに、手元の研究に当たってみたい。
形が違うと、吸収も違う?
小さな無作為化試験では、有機酸型のほうが酸化マグネシウムより吸収が大きかったと報告されている。 Walker らが 2003 年に報告した二重盲検試験では、健康な成人 46 名が元素マグネシウム 300mg を 60 日間とった。結果、クエン酸マグネシウムやアミノ酸キレートといった有機酸型は、24 時間尿中マグネシウム排泄で見た吸収が酸化マグネシウムより大きく(P=0.033)、クエン酸型は血清マグネシウム濃度が最も高かった。酸化マグネシウムはプラセボと差がなかったと報告されている。形によって吸収に差がありうる、と読める結果だ。
この差を、どこまで信じていい?
あくまで 1 本の小規模な試験であり、個人差の幅も残る。 参加者は健康な成人 46 名、期間は 60 日間、指標は尿と血清に限られる。ここで強調しておきたいのは、この一つの結果から「酸化マグネシウムは選ぶ価値がない」と言い切れるわけではない点だ。人数が少なく、体質や食事、もともとの状態によって数字は揺れる。誰にでも同じ差が出るとは限らない。一つの目安として受け取り、感じ方には個人差があることを前提にしたい。
吸収が大きいほうが、いつでもいい?
目的によって、選ぶ基準は変わる。 吸収の大小だけを見れば有機酸型に分がありそうだが、酸化マグネシウムは便通を整える目的で使われる用途もある。その場合、体に取り込まれる量の多さがそのまま目的にかなうとは限らない。つまり「吸収されにくい」ことが、用途によっては欠点にならない場面もある。何を目的にするかで、ふさわしい形は入れ替わる。優劣を一列に並べる話ではない、というのが正直なところだ。
今夜の一手: 成分表の「形」を一度だけ確かめる
今夜、もし手元にマグネシウムのサプリがあるなら、成分表の「形」を一度だけ確かめてみる。酸化物か、クエン酸か、キレートか。それだけで、自分が何を目的に選んでいたのかが少し見えてくる。研究はまだ 1 本の小さな試験にすぎず、答えを急ぐ必要はない。用途や量に迷いがあるときは、薬剤師や医療機関に相談を。感じ方には個人差があります。

