トレーニングを終え、汗が引くのを待ちながらHMBの容器を眺める。半分は「回復が早まるかも」という期待、半分は「本当に効くのか」という疑い。HMBは筋肉の回復に役立つのか、根拠の範囲と限界も含めて正直に読んでいきたい。

HMBは筋力の上乗せになるのか?
9件の研究を統合したメタ分析では、未訓練の人に小さいが明確な上乗せ、訓練経験者にはごくわずかと報告がある。
このメタ分析は、筋トレ中にHMB(ロイシンの代謝物であるβ-ヒドロキシ-β-メチル酪酸)を摂った9件のランダム化比較試験、計14の比較を統合したものだ。結果、運動経験の浅い男性では全体および下肢の筋力に小さいが明確な上乗せが見られた一方、すでに鍛えている人では効果はごくわずか(全体平均+3.7±2.4%)にとどまったと報告されている。つまり同じHMBでも、誰が飲むかで結果が変わる。伸びしろの大きい初心者ほど上乗せが見えやすく、経験者ほど余地は小さい、というのがこの研究の見立てだ。効果には個人差がある。
回復や体組成にはどう出るのか?
体組成への効果はわずかで、筋損傷マーカーへの影響もはっきりしなかったと報告がある。
回復を期待する人が気にする点だが、この研究では脂肪量・除脂肪体重といった体組成への効果はわずかで、筋損傷の指標であるクレアチンキナーゼへの影響もはっきりしなかったとされている。ここで見落としたくないのは、これらがすべてトレーニングと併せて摂った場合の上乗せだという点だ。HMB単独で何かが起きたのではなく、運動という土台の上に小さく乗るかどうかの話にすぎない。だから土台となる運動や食事のたんぱく質が欠けていれば、補助も生きにくいと考えられる。効果には個人差がある。
今夜の一手: 期待の大きさを、根拠の範囲に合わせておく
もし試すなら、「運動経験の浅い時期に、小さな上乗せを支えうる補助」くらいに期待を調整しておく。まずは睡眠とたんぱく質、トレーニング量という土台が足りているかを見直し、HMBはその上の補助と位置づける。過度な期待は落胆に変わりやすい。研究の等身大に合わせておくほうが、長く冷静に付き合える。効果には個人差があります。

