眠れない夜が続いて、「グリシンが睡眠にいい」という話にたどり着く。ベッドサイドで粉末を白湯に溶かしながら、これは本当なのかと半信半疑になる。その話の出どころを、規模も限界も含めて正直に確かめたい。

グリシンは、睡眠に効くと言えるのか?
小規模な試験では、就寝前の3グラムが翌日の疲労感の低下や課題成績の改善と関連したと報告されている。
この試験では、健康なボランティアの睡眠を3晩、通常より25%制限したうえで、就寝前にグリシン3グラムかプラセボを与えて比べた。すると、グリシン群は翌日の疲労感が有意に低く、眠気の減少傾向と、精神運動覚醒課題(PVT)の成績改善を示したと報告された。同じ研究グループの先行研究では、睡眠に不満のある人で主観的な睡眠の質との関連も示されている。ただし、いずれも規模の小さい試験だ。ここから「よく眠れるようになる」と一般化して語るのは早い。効果には個人差がある。
睡眠薬のように効くと考えていいのか?
仕組みも効果も穏やかで、睡眠薬とは別物だと理解しておきたい。
研究では、グリシンはメラトニンや体内時計の遺伝子を直接動かすのではなく、視交叉上核という体内時計の中枢の働きの調整を介して、眠気や疲労に関わる可能性が示唆された。強い薬理作用で眠らせる、という類のものではない。だから受け取り方はこうなる。まず土台にあるのは、睡眠時間そのものを確保することだ。グリシンはその上に乗る補助であって、寝不足を埋める代わりにはならない。持病がある人や薬を飲んでいる人は、自己判断せず専門家に相談してほしい。効果には個人差がある。
今夜の一手: サプリの前に、寝る時刻を15分だけ早める
今夜試すなら、サプリより先に、いつもより15分だけ早く布団に入ってみる。睡眠時間という土台を数十分でも積み増すほうが、確かめられた効果に近い。グリシンを使うにしても、それは土台の上のおまけと位置づけておく。効果には個人差があります。

