眠れない夜、スマホで「ストレスに効くハーブ」と出てくるアシュワガンダ。古くから使われてきた植物で、近年はサプリとしても目にする。けれど「効く」と言い切る紹介は多くても、どこまでが研究で確かめられ、どこからが期待なのかは見えにくい。一本のランダム化試験を手がかりに、範囲と限界を整理していく。

二本の黒い瓶の液面差を白いカップと暦の前で比べた静物画像

アシュワガンダは、ストレスに何をすると報告されているのか?

慢性的にストレスを感じる健康な成人では、不安の指標と朝のコルチゾールがプラセボより下がったと報告されている。

Lopresti ら(2019)は、慢性的なストレスを抱える健康な成人60人を対象に、アシュワガンダ根抽出物240mgを1日1回・8週間とる群と、見た目が同じプラセボをとる群にランダムに分けて比較した。その結果、実薬群では不安の指標(HAM-A)と朝の唾液コルチゾール(ストレスに関わるホルモン)が、プラセボ群より有意に低下したと報告されている。気分の落ち込みの指標も下がり、試験中に目立った有害事象の報告はなかった。別のランダム化試験(Salve ら 2019)でも、知覚ストレスの尺度が下がったと報告されている。

この結果を、どこまで自分に当てはめてよいのか?

対象は健康な成人で規模も小さく、「病気を治す」ではなく「指標が動いた」水準にとどまる。

ここで立ち止まりたいのは、研究の対象だ。この試験が見たのは、診断のある病気ではなく、日常的にストレスを感じている健康な成人での変化だった。参加者は60人と少なく、期間も8週間。つまり「多くの人で長く追った」わけではなく、限られた条件で指標が動いた、という段階だ。だから「飲めば確実にラクになる」ではなく、「合う人には手がかりになりうる」くらいの温度で受け取るのが正直だろう。効果には個人差がある。

試すとしたら、どんな姿勢がいいのか?

短期間・少量から始め、体調の変化を眺める。合わなければやめる、を前提にする。

研究で使われたのは特定の抽出物・用量・短期間だ。だから始めるなら、同じように少量から短く試し、眠りや気分がどう動くかを自分で観察するのが現実的だ。妊娠中・授乳中の方、持病や服薬がある方は、飲み合わせの問題がありうるため、始める前に医療機関や薬剤師に相談してほしい。サプリは、取り戻したい落ち着きの「代わり」ではなく、生活の整え方に添える小さな一手として捉えるほうが、期待に振り回されずにすむ。効果には個人差がある。

今夜の一手: 「効く前提」を一度外して、問いを立て直す

今夜アシュワガンダを買うかどうかは、決めなくていい。決めるのは、「これさえ飲めば」という前提を一度外して、「自分のストレスは何から来ているのか」を一行だけ書き出すこと。サプリはその答えの一部にはなっても、全部にはならない。不調が続くときは無理をせず専門家へ。効果には個人差があります。