深夜、締め切りに追われて缶を開ける。最初の数時間は冴える。でも後半、ふっと集中が切れて、飲む前より重いだるさが来る。「これがクラッシュか」と多くの人が言う。だが、その「クラッシュ」がどこまで研究で裏づけられているのかは、案外語られない。通説を一つずつ検証してみる。

深夜にエナジードリンクを飲む手元

「クラッシュ」って、そもそも何を指す?

多くの人が言う「クラッシュ」は、実は複数の別々の現象の寄せ集めだ。 カフェインが効く時間を過ぎて反動を感じること、前夜の睡眠が削られて翌日に疲れが残ること、そしてよく言われる「血糖の乱高下」。これらは全部ひとまとめに「クラッシュ」と呼ばれがちだが、確からしさはバラバラだ。だからここでは一気に断じず、台帳にある一次情報で確かめられる部分だけを切り出していく。

カフェインは「切れる」から反動が来る?

カフェインが体に一過性の反応を起こすことは、研究で確認できる。 二重盲検の試験では、カフェイン摂取後にコルチゾールが上昇し、時間とともに戻っていく様子が観察されている。効いている山があれば、下りの局面もある。加えて公的機関は、カフェインの感受性には個人差が大きいと整理している。同じ量でも冴える人と眠れなくなる人がいる。「後半にだるい」の一部は、この効き目の山を過ぎた反動として説明がつく。ここは検証をパスする部分だ。

本当の犯人は「昨日の睡眠」かもしれない?

見落とされがちなのが、カフェインが睡眠そのものを削っている可能性だ。 ある研究では、400mgのカフェインを就寝6時間前に摂っても、客観的に測った睡眠時間が1時間以上減っていた。しかも本人はその乱れに気づいていなかった。夕方のエナドリで夜の睡眠が浅くなり、翌日にだるさが残る。それを「クラッシュ」と呼んでいるなら、犯人は今日の缶ではなく、昨日の睡眠だ。眠気を押し込むほど、翌日の谷は深くなりうる。

「糖のクラッシュ」は検証できる?

「血糖の乱高下でクラッシュする」という説明は、今回照合できた一次情報の範囲では確認できなかった。 よく耳にする話だが、台帳にある確認済みの研究の中に、この機序を直接裏づけるものは見当たらなかった。ここで大事なのは、見当たらないことを「嘘だ」と断じないことだ。確かめられていないだけで、反証されたわけではない。だから当社としては、この部分を根拠にして「だから危ない」とも「問題ない」とも言わない。空欄は空欄のままにしておく。

今夜の一手: 缶より、眠気の出どころを見る

だるさの多くは、飲み物ではなく睡眠から来ているかもしれない。今夜もし手が伸びそうなら、まず「この眠気は、昨日ちゃんと寝たうえでの眠気か」と一度だけ問う。足りていないのが睡眠なら、缶で覆い隠すほど谷は深くなる。夕方以降の一本を見送るだけでも、明日のだるさは変わりうる。