眠気を飛ばすための一杯。それ自体は理にかなっている。でも、その一杯が夜の眠りを静かに削り、寝つけない夜がまたスマホを手元に呼んでいるとしたら。カフェインの話は「効くか効かないか」より、「いつ飲むか」の話だ。

夕方にコーヒーを飲む人のイラスト

カフェインは本当に頭を冴えさせる?

睡眠不足のとき、カフェインは注意や反応時間を改善したと報告されている。

睡眠が足りない状況を対象にした45研究のメタ分析(Irwin 2020)では、カフェインは注意力テストの反応時間や正確性、情報処理、運転の成績を改善したと報告されている。「気のせいで冴えた気になっているだけ」ではなく、覚醒作用そのものは研究でも支持されている。

ただし、ここで大事な前提がある。効果には個人差があります。同じ一杯でも、平気な人もいれば強く効く人もいる。感受性は人によって大きく違う。

でも「効く」には裏がある——夜まで残る

就寝6時間前のカフェインでも、睡眠が削られたという実験がある。

ある実験(Drake 2013、N=12)では、400mgのカフェイン——コーヒー2〜3杯ほど——を就寝の0時間前・3時間前・6時間前に摂った条件を比べた。すると6時間前に摂った場合でも、客観的に測った総睡眠時間が1時間以上減ったと報告されている。

さらに見過ごせないのは、被験者がその睡眠の乱れに気づいていなかった点だ。「よく眠れなかった」という自覚がないまま、眠りだけが削られていく。ここが夜スマホとつながる。浅い眠りと寝つけなさは、手持ち無沙汰な夜をつくり、その夜に、また画面の光が差し込んでくる。

どのくらいが目安?

量ゼロを目指す話ではなく、時間帯を設計する話だ。

食品安全委員会のファクトシートでも、カフェインの摂取量には目安があり、感受性には個人差があるとされている(妊娠中や子どもは別の目安)。つまり「絶対に飲むな」ではなく、自分にとって夜に響かない量と時間を見つける、という設計の問題だ。

今夜の一手: カフェインの「門限」を1つ決める

今日決めるのは1つでいい。

  1. カフェインの門限の時刻を決める(例: 15時以降はカフェインレスに切り替える・約10秒)
  2. 夕方以降の飲み物を1つ用意しておく(麦茶・カフェインレスコーヒーなど・決めるだけ)

眠気覚ましの一杯を悪者にする必要はない。ただ、その一杯を夜まで残さない門限を1つ引くだけで、取り戻したい夜の眠りに手が届きやすくなる。