夜スマホを控えた分、食事にも少し目が向く。そんなとき「たんぱく質を増やすと食べ過ぎない」という話をよく聞く。半分は本当で、半分は言いすぎだ。満腹感の研究を見ると、もう少し正直な地図が描ける。

同じカロリーでも、満腹感はまるで違う

満腹感は食品ごとに大きく差がある。 Holtらの1995年の研究では、同じ240kcalで38の食品を比べ、白パンを基準(満腹感指数100)としたとき、ゆでジャガイモが323%で最も満腹感が高く、クロワッサンが47%で最も低かった。同じカロリーを食べても、その後の満たされ方はまるで違う。カロリーの数字だけを見ていると、この差は見えてこない。

たんぱく質は「要素の一つ」

たんぱく質は満腹感と関連するが、単独の魔法ではない。 満腹感を左右するのは、たんぱく質だけでなく食物繊維・水分・料理のかさなど複数の要素だ。たんぱく質を足すと満たされやすくなる場面は多いが、「たんぱく質さえ増やせばいい」と一点賭けするのは正確ではない。Jäger 2017は、運動する人で1日1.4〜2.0g/kg、1回20〜40gあたりを一般的な目安として整理しているが、これは処方ではなく範囲の話だ。効果には個人差がある。

満腹感に複数の要素が寄与することを示す簡素な図

「減らす」より「足す」

欠食で削るより、満腹感の高いものを一品足すほうが続く。 Mortonらの2018年のメタ分析でも、たんぱく質は総摂取量の設計が本質で、極端な操作より土台の積み上げが効くと整理されている。ダイエットというと「引き算」に寄りがちだが、満腹感の設計は「足し算」でも進む。体重を責めて食事を抜く方向は、反動を招きやすい。つらさや食行動の乱れが続くなら、一人で抱えずに専門家に相談してほしい。

今夜の一手: 明日の一食に、たんぱく質源を一品

大きな献立の見直しはいらない。明日の一食を思い浮かべ、そこにたんぱく質源を一品だけ足すと決める。卵でも、魚でも、豆でもいい。引き算ではなく足し算から始めると、続けやすい。うまくいかない日があっても、翌日また一品足せばいい。効果には個人差がある。