夜、冷蔵庫の前で立ち尽くす。「どうせ食べるなら、腹持ちのいいものを」——検索すると、低GIという言葉が並ぶ。血糖の上がりにくさと満腹感は、本当に同じものなのか。研究がどこまで言えているかを見ていく。

深夜に冷蔵庫の前で何を食べるか迷う人のイラスト

満腹感は、食品によってどれくらい違うのか?

同じカロリーでも、満腹感は食品によって数倍も違うと実測した研究がある。

1995年のHoltらの研究(満腹感指数)は、同じ240kcalぶんの38食品を食べてもらい、その後120分の満腹感を比べた。白パンを基準の100としたとき(満腹感指数)、最も高かったのはゆでジャガイモで323。最も低かったのはクロワッサンの47だった(各群11〜13人)。カロリーが同じでも、腹の満ち方はまるで違う。効果や感じ方には個人差がある。

血糖が上がりにくければ、満腹も続くのか?

そうとは限らない。血糖を抑えた食品でも、満腹感に差が出なかった実験がある。

2008年のHlebowiczらの二重盲検クロスオーバー試験(N=12)では、オーツ麦のβ-グルカンを4g含むミューズリが、コーンフレークより食後血糖の上昇を有意に抑えた。ところが、満腹感には有意な差が出なかった。血糖のカーブと、腹の満ち具合は、いつも手をつないで動くわけではない。

一方で、食品ごとのGIの差そのものは大きい。2008年の国際GI/GL表(Atkinsonら)は2,480件超の食品を整理し、精製パンや多くのシリアルは高GI寄り、豆類・乳製品・果物は低GI寄りだと示している。つまりGIは食品選びの手がかりのひとつではある。ただ「低GIだから腹持ちする」と一段飛ばしで結論するのは、研究が支えていない。

今夜の一手: GIの数字より、皿全体を見る

低GIかどうかを単独で気にするより、たんぱく質・食物繊維・水分がそろっているかを皿全体で見る。食品に善悪の札を貼らず、続けやすい一皿を選ぶ。数字は道具で、主役ではない。効果には個人差があります。