朝の電車。気づけばスマホを開いている。「またやってる」と自分を責める。でも、通勤中の数分を敵にする前に、考えたほうがいいことがある。すべての場面を一律に断つのは、じつは続きにくい戦い方だ。

スマホは全部やめないと変わらない?

全部やめるより、減らす場面を選ぶほうが続きやすいと報告されている。 Brailovskaiaらの2022年の研究(619人・ランダム化比較試験)は、7日間まるごと断つグループと、1日1時間だけ減らすグループを比べた。すると、完全に断つよりも「1時間減らす」ほうが、4ヶ月後まで生活満足や身体活動の増加、不安の低下が続いたと報告している。ゼロか百かにすると、反動で戻りやすい。

全断ちと場面ごとの設計を対比した簡素な図

通知は全部切るのが正解?

全オフより、1日数回にまとめて受け取るほうが現実的だと整理されている。 Fitzらの2019年の研究(237人)では、通知を全部切るのではなく、1日3回程度にまとめて受け取る形が良く、全遮断はかえって不安や「取り残される感覚」を強めうると報告された。鳴る回数と時間帯を設計するほうが、断ち切るより続く。全遮断は一見ストイックだが、反動を招きやすい。

では、どの場面から設計する?

夜の睡眠に響く場面が最優先だ。 通勤中の数分と、就寝前の30分とでは、翌日への影響がまるで違う。寝る前のスクロールは睡眠を削り、翌朝の通勤のだるさにもつながる。全場面を横並びで戦わず、影響の大きい順に一つずつ設計する。通勤のスクロールは、優先順位でいえば後回しでかまわない。

今夜の一手: 「夜だけ」の一場面を決める

まず、夜の1場面だけを選ぶ。たとえば「布団に入ったら動画アプリは開かない」。通勤を含む他の場面は、今日はそのままでいい。一番効く場面を一つ決めて守るほうが、全部を一度に変えようとするより、ずっと遠くまで続く。