深夜、ソファで動画を見ながら思う。「そろそろ運動しないと」。でも次に浮かぶのは決まってこの問い——走るべきか、それとも重りを持つべきか。どちらが減量に効くのか。答えは「目的による」だが、研究はそれをかなり具体的に示している。

体脂肪を減らすだけなら、どちらが効く?
体脂肪量・体重の減少という一点では、有酸素運動が優勢だと報告されている。
Willis et al. 2012(J Appl Physiol)は、運動習慣のない過体重・肥満の成人119人を、有酸素・筋トレ・併用の3群に分けて8ヶ月追ったRCTだ。結果、体脂肪量と体重の減少には有酸素運動が最も有効で、併用群は時間が倍かかったのに、有酸素単独より有意に大きくは減らなかったとされている。
Lafontant et al. 2025のメタ分析(31件のRCT・1,564人)も同じ向きだ。体脂肪「率」の減り幅は運動様式間で差がないが、絶対的な体脂肪量の減少は有酸素・併用が筋トレ単独より有効だったと報告されている。
筋トレは「減量」に無力なのか?
むしろ、減っていく最中の筋肉(除脂肪量)を守る役割がある。
減量中は、脂肪だけでなく筋肉も一緒に減りやすい。Sardeli et al. 2018(肥満高齢者6件のRCTのメタ分析)では、カロリー制限に筋トレを足すと、制限で生じる除脂肪量の減少をほぼ完全に防いだと報告されている。しかも体脂肪・体重の減り方は、カロリー制限単独と大きく変わらなかったとされる。
つまり有酸素は「数字を動かす」係、筋トレは「中身を守る」係。役割が違う。効果には個人差があります。
「最強」を1つ選ぶなら?——採点の前提を開示する
採点は「体脂肪・体重を減らす力」「筋肉を守る力」「続けやすさ」の3基準で見る。
この3つで見ると、体脂肪・体重は有酸素が上、筋肉維持は筋トレが上、続けやすさは人による。だから唯一の「最強」は決まらない。決まるのは「あなたの目的にとっての最強」だけだ。研究が示すのは順位ではなく、選び方の地図のほうだ。
今夜の一手: 「数字」か「中身」か、今の目的を1つ選ぶ
今夜決めるのは、種目ではなく目的だ。
- いま優先したいのは体重の数字か、筋肉を保つことかを1つ選ぶ(約10秒)
- 数字なら早歩き10分、中身ならスクワット10回——どちらか片方だけ今日やる
両方を完璧にやろうとして倒れるより、目的に合う片方を今日続けるほうがいい。取り戻した気力は、いちばん動かしたい一点に向ければ足りる。


