体重を落とそうと食事を減らすと、体重計の数字は動く。だが鏡の前で、なんだか萎んで見える夜がある。脂肪と一緒に、筋肉まで持っていかれている感じ。ここで「筋トレも足したほうがいいのかな」と手が止まる。研究を読むと、筋トレは体重を落とす主役ではなく、別の仕事をしていることが見えてくる。

減っていく体重と守られる筋肉を二本の線で示した図

体脂肪を減らす主役はどの運動?

体脂肪や体重の絶対量を減らすことに関しては、有酸素運動や併用が主役だと報告されている。 有酸素・筋トレ・併用の3群を8ヶ月比べたRCTでは、体脂肪量・体重の減少には有酸素運動が最も効いたとされる。31件のRCTをまとめたメタ分析でも、体脂肪率の減り幅は運動様式で大きく変わらない一方、絶対的な体脂肪量の減少は有酸素・併用のほうが筋トレ単独より大きいと整理されている。「筋トレだけで体脂肪を大きく落とす」という筋書きは、研究の主流ではない。

では筋トレは減量に無意味?

無意味ではなく、担当が「守り」なのだ。 肥満高齢者を対象にした6件のRCTのメタ分析では、カロリー制限に筋トレを併用すると、カロリー制限だけで生じる筋肉(除脂肪量)の減少をほぼ防いだと報告されている。減量では脂肪と一緒に筋肉も減りやすい。その筋肉の目減りを抑えるのが筋トレの役割だ。減らす役は食事と有酸素、守る役は筋トレ。こう分けると、どちらも要る理由がはっきりする。

体重計が動かないと失敗?

筋肉が守られると、体重の数字は動きにくく見えることがある。 脂肪が減っても筋肉が保たれれば、差し引きの体重はゆっくりしか変わらない。だが体の内訳(脂肪と筋肉の比)は変わっている。ここで採点しているのは体重計の数字ではなく、体の中身の変化のほうだ。数字だけを見て「効いていない」と判断すると、実際に起きている良い変化を見落としかねない。効果には個人差がある。

何から始めればいい?

目的を一つに絞ると、選ぶ運動が決まる。 体脂肪を減らしたい時期なら食事の見直しと有酸素を軸に、そこへ筋肉を守るための筋トレを添える。全部を完璧にやろうとして続かないより、今の自分の目的に合う1〜2種類を、来週も再来週もできる量で始めるほうが現実的だ。減量中の筋トレは、重さを追い込むより「続けられる回数」で選ぶ。

今夜の一手: 「減らす」と「守る」を紙に1行ずつ書く

今の目的を「脂肪を減らす」と「筋肉を守る」に分け、それぞれに今週できる行動を1つずつ書き出す。減らす側は食事か有酸素、守る側は軽い筋トレを1種類。役割を分けて書くだけで、あれもこれもと迷って動けなくなる夜が減る。