「なんとなく疲れが取れない」「風邪をひきやすい気がする」。そんな夜、スマホで検索すると亜鉛サプリの広告が並ぶ。亜鉛は本当に足りていないのか、そして足せば足すほどいいのか。研究と公的な基準で線を引いてみる。
亜鉛は体の中で何をしている?
亜鉛は多くの酵素の働きに関わる必須ミネラルだ。 米国立衛生研究所(NIH)の栄養補助食品部門の解説によれば、亜鉛は細胞の成長やタンパク質の合成、味覚など幅広い機能に関与する。欠乏すると、子どもの成長の遅れ・免疫の働きの低下・感染への弱さと関連すると報告されている。ここで大事なのは、これは「欠乏したとき」の話であって、足せば足すほど機能が上向くという意味ではない点だ。

日本人は足りている? 不足している?
平均的には、やや不足ぎみと整理されている。 厚生労働省の食事摂取基準では、亜鉛の推奨量は成人男性で9〜9.5mg、女性で7〜8mgだ。国民健康・栄養調査では、20歳代以降の平均摂取量は推奨量をやや下回る傾向にあるとされる。ただし「平均が下回る」ことと「あなたが欠乏している」ことは別だ。極端な食事制限・多量の飲酒・吸収に関わる病気などが欠乏の背景になりやすいと解説されている。
摂りすぎの線はどこにあるのか?
上限を超えて摂り続けると、むしろ害になりうる。 NIHの解説では、成人の耐容上限量は1日40mgで、これを長く超えると銅の欠乏を招きうるとされる。厚労省の基準でも上限は男性40〜45mg・女性35mgに設定され、過剰摂取は銅欠乏・貧血・胃の不調と関連しうると整理されている。サプリは食品より一度に多くの亜鉛を含みやすいので、「たくさん飲むほど安心」という発想はむしろ逆になりうる。効果には個人差がある。
サプリで足すべきか、食事で足すべきか?
まずは食事から、が基本線だ。 牡蠣・赤身肉・レバー・豆類・ナッツなどに亜鉛は含まれる。特定の病気や食生活で欠乏が疑われる場合は、自己判断でサプリを重ねる前に、医療機関で相談するのが安全だ。サプリは手軽だが、上限の存在を忘れると銅とのバランスを崩しかねない。
今夜の一手: 今の食事に1品、亜鉛源を足す
サプリを買う前に、いつもの食事に亜鉛を含む食品を1品足してみる。豆やナッツをひとつかみでもいい。足りない不安をサプリで埋める前に、まず皿の上で確かめる。
