ジムに着いて、すぐバーベルに手を伸ばしたくなる夜がある。早く終わらせて帰りたい。ウォームアップは面倒で、本当に意味があるのかも疑わしい。研究の範囲で、正直に確かめたい。
ウォームアップはパフォーマンスに効く?
準備運動としてのウォームアップは、パフォーマンスの向上と関連すると報告されている。 質の高い32研究をまとめたレビュー(Fradkin 2010・システマティックレビュー+メタ分析)では、ストレッチ以外の準備運動が、調べた基準の79%で改善と関連し、悪影響を示す証拠はほとんどなかった。ただしこの79%は「改善と関連した項目の割合」であって、そのぶん伸びると保証する数字ではない。温めた体のほうが動きやすい、という素朴な実感には、研究の裏づけがある。
どんなウォームアップがいい?
高負荷の動的な準備運動が、パワーと筋力を高めやすいと報告されている。 31研究のレビュー(McCrary 2015)では、高負荷の動的ウォームアップがパワー・筋力を高める一方、短時間の静的ストレッチ主体では効果が薄かった。つまり「じっと伸ばす」より「本番に近い動きを軽い負荷でなぞる」ほうが、体は動きやすくなる。ここは読み違えやすいところで、ストレッチ=ウォームアップではない。
ケガの予防にはなる?
傷害予防の効果は、まだ結論が出ていない。 無作為化試験を集めたレビュー(Fradkin 2006)では、5件中3件で傷害リスクの低下、2件では有意差がなく、「推奨も中止も支持する十分な証拠はない」と結ばれた。上半身のウォームアップと傷害の関係を調べた研究は見当たらなかった、という報告もある。だから「ウォームアップすればケガしない」とは言えない。ここは「効かないと分かった」のではなく「まだ確かめられていない」と読むのが正確だ。効果には個人差がある。
あなたはどうすればいい?
条件で分けたい。重い負荷や素早い動きをする日は、本番の動きを軽い負荷で数分なぞってから入る。 これはパフォーマンスの土台になりうる。軽い散歩程度の日は、神経質にならなくていい。 温めること自体が目的ではなく、動ける体で始めることが目的だ。数字に縛られず、体が軽くなった感覚を目安にすればいい。
今夜の一手: 「最初の1種目を、半分の重さで1セット」
今日の運動の入りを、いきなり本番にしない。最初の種目を、半分くらいの軽さで1セットだけなぞってみよう。それが体を温め、動きを思い出させる準備運動になる。伸ばすより、動かす。うまく動けない日があっても、自分を責めないこと。体調に不安があるときは、無理をせず休む選択も持っておく。効果には個人差があります。
