からだを動かす習慣が続いてきて、運動前の一杯を試そうと思う。既製のプレワークアウトを買うか、成分を単品でそろえて自分で組むか。棚の前で迷うのは、味でも値段でもなく「中身が見えるかどうか」だと気づく。
そもそも既製品の中には何が入っているのか
平均で18.4成分、そのうち約4割は「量が書かれていない」状態だ。 Jagimらの2019年の分析(市販上位100製品)は、1製品あたり平均18.4成分が配合され、うち8.1成分は量を開示しないプロプライエタリブレンド(全成分の44.3%)に含まれていたと報告している。βアラニンは87%の製品に平均2.0g、カフェインは86%に254mg、シトルリンは71%に4.0g——というように、入っている頻度と平均量は見えても、個々の製品で有効とされる量に届いているかは、ブレンド表示だと確かめにくい。

単品で組むと、何が変わるのか
量を自分で決められる。それが最大の違いだ。 研究の裏づけが比較的はっきりしている成分は、じつはそう多くない。たとえばカフェインは、Guest 2021が体重1kgあたり3〜6mg(最小で2mg程度)を一つの目安として挙げ、運動60分前の摂取が一般的だとしている。βアラニンは、Trexler 2015が4〜6g/日を2〜4週間続けると筋カルノシンが増え、1〜4分続く高強度運動で成績改善が最も出やすいと整理する(ピリピリ感という副作用の報告もある)。単品なら、こうした量に自分で寄せられる。弱点は、計量の手間と、味やタイミングを自分で調整する必要があることだ。
「入れれば効く」ではない——シトルリンの例
成分を足すほど強くなる、という発想は避けたほうがいい。 シトルリンは既製品の7割に入っている人気成分だが、Trexler 2019のメタ分析では、急性摂取が高強度の筋力・パワー系種目でプラセボより有意に成績を改善したものの、統合効果量は0.2と小さいと報告されている。有効の方向ではあっても、体感を大きく変えるとは限らない。品数の多さは中身の強さと同じではない。効果には個人差がある。
あなたなら、どちらを選ぶか
- 手軽さ・続けやすさを優先するなら——既製品。ただし量が見えにくい弱点は承知しておく。
- 透明性とコスト、量の管理を優先するなら——根拠のある成分を少数、研究で使われた量に寄せて単品で。手間は増える。
- カフェインに敏感・持病がある・通院中なら——量の議論の前に、主治医に相談する。夜に飲むなら睡眠への影響も見ておく。
どちらも土台(食事・運動・睡眠)の上に乗るものだ。正解は一つではなく、何を優先するかで変わる。
今夜の一手: 手元の一杯の「見える量」を数える
棚に行く前に、今ある選択肢を1つ確かめる。
- 気になる製品か成分を1つ選ぶ(約10秒)
- その量が数字で書かれているか、ブレンドの中で隠れているかを見る
量が見えないと分かっただけでも収穫だ。見えるものから選ぶ——それが中身から考える第一歩になる。


