寝る前、スマホの画面をナイトモードに切り替える。オレンジがかった暖色になれば、いくらか眠りやすくなる気がしている。だがその「色を変える」という工夫は、本当に眠りを変えているのか。

黒いスマートフォンから長い時間軸が月へ伸びる静物画像

ナイトモードにすれば、本当に眠れるようになるのか?

画面を暖色にすること自体が睡眠を改善するという直接の一次エビデンスは、今回照合できた台帳の範囲では見当たらない。

ここで区別しておきたいのは、「効かないと証明された」のと「効くと示す一次エビデンスがまだ見当たらない」のは別だという点だ。ナイトモードを使うこと自体が害になるという報告も、今回の台帳にはない。ただ、色を暖色に変えるという操作そのものが睡眠を確かに改善すると示す一次研究は、今回照合できた範囲には出てこなかった。だから「未確立」であって「反証」ではない、とここでは正直に区別しておきたい。通説をそのまま信じるのも、逆に無意味だと決めつけるのも、どちらも根拠のうえでは急ぎすぎだ。

では、何が確かに支えられているのか?

支えられているのは色ではなく、就寝前にスマホを使う時間そのものを減らすことのほうだ。

予備的なRCT(He 2020・N=38と小規模)は、就寝前30分のスマホ使用を制限する介入を4週間続けたところ、入眠潜時の短縮・睡眠時間の増加・気分の改善が報告されたとまとめている。小規模で予備的な結果だが、色を変える話ではなく、使う時間そのものを減らす話である点は明確だ。厚生労働省のe-ヘルスネットは、朝の強い光が体内時計を前進させ、夜の光は逆に遅らせると解説している。夜に光を浴びること自体が体内時計に働きかけるという理屈は、その光が暖色かどうかとはまた別の軸にある。二つを重ねると、色より時間、というのが今のところ言える範囲だ。

今夜の一手: 就寝30分前にスマホを別室へ置く

今夜は色の設定をいじるより、就寝30分前にスマホを寝室の外へ置いてみる。

その30分、画面を見る時間を1つ減らすだけでいい。予備的な報告の範囲では、就寝前のスマホ使用を減らすことで入眠が早まったり気分が上向いたりしたと示唆されている。ナイトモードをやめる必要はないが、色を変えるより時間を変えるほうが、今のところ根拠のあるレバーだ。