「使い続けると効かなくなる」。眠りに関わるものには、たいていこの話が付いてくる。カフェインではそれが実際に確かめられている。では、メラトニンはどうなのか。同じ言葉でも、成分ごとに分かっていることは違う。

カフェインでは、「慣れ」は確かめられている

健康な成人32人の試験では、300mgを1日3回(合わせて900mg)18日間続けた群で、その後の投与で緊張・不安・そわそわ感といった主観的な効果がほとんど現れなくなった。 同じ300mgでも、プラセボを続けた群では緊張や不安が生じている。日常的に摂るほど効きは鈍る、という話には、こういう裏づけがある。

だから「慣れる」という言葉自体は、根拠のない俗説ではない。問題は、それを他の成分へそのまま持ち込んでよいのか、という点だ。

メラトニンでは、どう報告されているのか?

19研究・約1,683人のメタ分析では、メラトニンは入眠までの時間の短縮・総睡眠時間の増加・睡眠の質の改善と関連し、継続して使っても効果は減弱しにくいとされている。 つまりカフェインで見つかったような、続けるほど手応えが落ちる形は、ここでは主な所見になっていない。

ただし同じメタ分析は、効果そのものを中程度(modest)と表現している。ここが誤解の入り口になりやすい。

「効かなくなった」と感じるとき、何が起きているのか?

慣れたのではなく、最初から手応えが小さかった、という可能性がある。 効果が中程度であれば、良く眠れた夜と眠れなかった夜の差のほうが大きく出ることもある。最初の数日をたまたま良い夜と重ねて記憶していれば、あとから「効かなくなった」と感じても不思議はない。

もうひとつ、土台の側も動いている。厚生労働省の解説では、体内時計は朝の強い光で前進し、夜の光で遅れる。夜更かしが続けば、同じものを同じ量だけ摂っていても、条件のほうが変わってしまう。

「確かめられていない」と「反証された」は違う。メラトニンで耐性が起きないと証明されたわけではない。メタ分析の整理としては減弱しにくいとされている、という水準だ。効果には個人差があります。

今夜の一手: 増やす前に、夜の光を一つ落とす

手応えが薄いと感じたとき、最初に手が伸びるのは量だ。その前に、寝る前の照明か画面をひとつ落としてみてほしい。条件が動いていたなら、そちらのほうが変化は大きい。持病や服薬がある場合は、自己判断で増やさず専門家に相談してください。