気づけば日付が変わっている。スマホを置いて時計を見ると、90分が消えている。その90分は、ただ消えたわけではない。何かと引き換えになっている。今夜は、その「何か」を棚卸ししてみる。

夜のスマホ時間は、何を押しのけている?

多くの場合、睡眠か、翌日の余白と交換されている。 深夜の90分は、そのぶん寝る時間を削るか、翌朝の慌ただしさを前借りしている。時間は増えないので、どこかで使えば別のどこかが減る。問題は、その交換が意識されないまま起きることだ。スマホは「奪っている」とは言わない。ただ静かに、他の何かと入れ替わっている。

夜の時間の使い道を量る天秤

減らすと、その時間は戻ってくる?

「完全にやめる」より「少し減らす」ほうが、戻った時間が続きやすい。 Brailovskaiaらの2022年の研究(619人・実験系の心理学誌)は、スマホを7日間完全に断つより「1日1時間減らす」ほうが、4カ月後も効果が続いたと報告している。減らした群では、生活満足度の向上・身体活動の増加・抑うつや不安の低下と関連が見られたという。ゼロにしなくていい。減らしたぶんが、他の何かに戻る。

戻った時間を、何に使う?

先に「使い道」を決めておくと、時間はまたスマホに吸われにくい。 空いた90分をただ作っても、手持ち無沙汰だと結局スマホに戻る。だから、戻す先を先に決める。湯船に長めに浸かる、明日の準備をする、早く布団に入る。依存から離れて何をするか——そこまで決めて、はじめて交換が完成する。

棚卸しは責めるためではない

目的は反省ではなく、選び直すことだ。 何時間使ったかを数えて落ち込む必要はない。数字は、交換の中身を見えるようにする道具にすぎない。見えれば、選び直せる。

今夜の一手: 90分の「引き換え先」を1つ決める

もし今夜スマホを90分減らせたら、その時間を何に使うかを1つだけ決めておく。交換の相手を先に指名しておくと、時間は戻りやすい。