夜、スマホで「16時間断食」と検索する。次の画面には「週2日だけでいい」と別の方法が出てくる。どれが一番効くのか、決めてほしくてタップを続けてしまう。体感でも流行でもなく、比較した研究がどこまで差を示せたかだけで、3つのやり方を採点してみる。

夜にダイエット法を検索する人のイラスト

採点基準を先に開示する

この決定戦の物差しは1つ——比較試験(RCT)のメタ分析が、方法どうしの差をどこまで示せたかだ。

「これで体重が減った」という声は採点しない。体験談は本物でも、減った量の何割がその方法のおかげか切り分けられない。理屈の新しさも採点しない。もっともらしい仕組みの説明と、実際に比べて確かめた試験は別物だ。だから以下は「流行の順位」ではなく「研究が示した差の順位」になる。効果には個人差があります。

先に断っておく。極端な食事制限や食事を抜くことは、この記事では勧めない。 ここで扱うのは、食べる時間帯や日数を区切る一般的な枠組みの話であって、我慢比べの話ではない。

第1ラウンド: 断食は「ただ減らす」に勝てるのか

短期でわずかに先行した報告はある。ただし差は小さく、割れている。

He 2021(11件のRCTを統合したメタ分析・N=850)は、週2〜3日を抑える間欠的エネルギー制限が、毎日少しずつ減らす継続的な制限に比べて、短期(2〜3か月)の体重減少やインスリン感受性の面で優れていたと報告している。

ただし同じ論文が、その効果は短期に限られ、長く見るにはもっと長期のRCTが必要だと釘を刺している。そして別のメタ分析(Zhang 2022)は、断食が一部の点で優れる可能性を認めつつ、BMIの改善では有意差がなかったと報告する。つまり「勝った」と「引き分け」が混在している。

判定は、根拠が薄いのではなく、差が小さい。断食は否定されていないが、「ただ量を減らす」を大きく引き離してもいない。

第2ラウンド: 3つの共通点を見ると答えが見える

どのメタ分析も、結局は総摂取エネルギーが減ることを共通の土台に置いている。

16時間断食も、週2日の制限も、毎日のカロリー管理も、うまくいくときに共通しているのは「1日または1週間で口に入れる量が減っている」ことだ。時間で区切るか、日数で区切るか、毎日ならすかは、その量を減らすための入り口の違いにすぎない。

だから本当の勝負どころは、方法の名前ではなく、その入り口が自分に合っているかになる。Zhang 2022は、断食群のほうが空腹感が強く、続ける意欲が下がりやすかったと報告し、集団や個人の意向に応じて方法を選ぶよう勧めている。合わない方法を根性で続けるより、続く方法を選ぶほうが、測定された結果に近い。

判定: 「最強の断食法」は一つに決まらない

エンタメとしての優勝は「あなたが続けられるやつ」——身も蓋もないが、これが研究に最も沿う。

条件付きで書くと、こうなる。

  • 毎日の我慢より、食べる時間帯を決めるほうが楽なら、16時間断食は合う枠組み
  • 決まった日にまとめて抑えるほうが気が楽なら、週2日の制限が向く
  • 時間や日数の縛りが逆にストレスなら、毎日ほどよく減らすのが正解。差は小さいのだから、続けやすさで選んでいい。

今夜の一手: 「減らす方法」ではなく「続く形」を1つ選ぶ

今日決めるのは、断食時間の長さではない。

  1. 3つのうち、来週いちばん無理なく試せそうな入り口を1つだけ選ぶ(約10秒)
  2. それを「やめても責めない実験」と決めておく(合わなければ別の入り口に変えるだけ)

減らし方の正解を探して眠れなくなるより、続く形を1つ選んで眠るほうが、たぶん近道だ。取り戻したいのは体重計の数字だけでなく、夜に検索を閉じられる落ち着きでもある。