仕事が終わって、運動できるのは夜だけ。でも「夜の運動は眠りに悪い」という話が頭をよぎる。やるべきか、やめるべきか。何も売らないので、メタ分析の結果をそのまま書ける。結論から言えば、夜だからという理由だけで妨げると決めつける根拠は薄い。

「夜の運動は眠りを妨げる」は本当か

総じて、運動は睡眠のわずかな改善と関連している。 Kredlowらの2015年のメタ分析的レビュー(66件)では、1回の運動が総睡眠時間・入眠潜時・睡眠効率・徐波睡眠の軽度な改善と関連し、習慣的な運動も睡眠の質の中程度の改善と関連したと報告された。ここで重要なのは、運動の強度や有酸素・無酸素の別が結果を大きく変えなかった点だ。時間帯は効果の大きさを多少左右するものの、「夜だから悪化する」と一律に言える結果ではない。効果には個人差がある。

それでも気をつけたほうがいい場面

就寝の直前に、非常に激しく追い込むかどうか。 一般論として夜の運動は問題になりにくいが、寝る間際に心拍を大きく上げるような運動は、一部の人で寝つきに響くことがある。ここは平均ではなく個人差の領域だ。厚生労働省の解説にあるように、夜の光やタイミングは体内時計に関わるので、運動後にスマホの強い光を浴び続ければ、運動そのものより光のほうが眠りを遅らせることもある。運動の是非より、就寝前の過ごし方全体で見たほうがいい。

運動と睡眠は、対立ではない

むしろ支え合う関係だ。 Easowらの2025年のレビューでは、睡眠不足が筋力やパワー、筋持久力の一部低下と関連すると整理されている。つまり睡眠は運動の土台でもある。夜の運動をやめて睡眠が守られるならいいが、実際には運動が睡眠のわずかな改善と関連する以上、「夜だからやめる」が得な選択とは限らない。両方をゼロサムで考えないほうがいい。

今夜の一手: 寝つきを3日だけ記録する

今夜できるのは、運動した日としない日の寝つきを、三日だけメモすることだ。「布団に入ってから眠るまで、なんとなく長い・短い」で十分。もし運動後に眠りにくいと感じるなら、終了を少し早める、最後の追い込みを軽くする、といった調整をすればいい。夜の運動をまるごと手放す前に、自分のデータで確かめる。効果には個人差がある。