眠れないまま朝を迎えて、それでもジムのバッグを担ぐ。昨夜の睡眠は4時間。今日のトレーニングは、意味があるのだろうか。体感でなく、睡眠と筋力を調べた研究がどこまで言えているかを見ていく。

深夜のジムで時計を見上げる人のイラスト

睡眠が足りないと、筋力は落ちるのか?

結論から言えば、研究の答えは「割れている」だ。

2025年に発表された系統的レビュー(Easow et al.・13研究をまとめたもの)は、睡眠不足や睡眠制限が筋力に与える影響を整理した。そこで見えたのは、きれいな一本の線ではなかった。一晩の断眠では筋力に有意な差が出なかったという報告もある。つまり「一晩眠れなかったから今日の力はゼロになる」とまでは言えない。効果や反応には個人差がある。

では、眠りを削り続けたらどうなるのか?

大勢としては、筋力・パワー・筋持久力の一部低下や、疲労の増大が観察されたとレビューは整理している。

一回の寝不足と、慢性的な睡眠不足は別物だ。レビューは神経筋機能の低下や疲労感の増大にも触れ、睡眠を優先すべきだと結論づけている。ただし同時に、機序(なぜそうなるのか)についてはさらなる追試が必要だとも付記している。だから我々は、これを「睡眠を削ってでも鍛えるべきか」ではなく「鍛えた分を無駄にしないために眠るか」の問題として読む。

一晩の寝不足で焦る必要はない。けれど、それが何日も続くなら、次に整えるべきは種目でなく眠りのほうだ。

今夜の一手: 追い込む前に、寝る時刻を先に決める

トレーニングの強度をどうするかより先に、今夜の就寝時刻をひとつ決める。眠れない夜のトレーニングは、軽めに切り上げてかまわない。土台が整えば、力は戻ってくる。効果には個人差があります。