夜、仕事が終わってスマホ片手に冷蔵庫を開ける。とくにお腹が空いていないのに、気づけば何かをつまんでいる。意志で我慢しようとしても、その場の判断はたいてい負ける。だから、判断をその場に残さない。
なぜ「その場で我慢」は続かない?
強い衝動の前では、意志だけの我慢は分が悪い。 Gollwitzerらの2006年のメタ分析(94の検定・社会心理学の論文集)は、「もしXが起きたらYをする」と前もって決めておくif-thenプランニングが、目標達成を後押しすると報告している(効果量d=0.65、中〜大)。ポイントは、行動を事前の「条件と手順」に変えておくことで、その場の意志力に頼らなくてよくなることだ。

食事のif-thenはどう作る?
「状況」と「その時の行動」をセットで、具体的に決める。 たとえばこうだ。
- もし夜、手持ち無沙汰でつまみたくなったら、まず水かお茶を一杯飲む。
- もし夕食後にもう一品ほしくなったら、果物か温かい飲み物にする。
- もし深夜に甘いものが欲しくなったら、明日の朝に食べる分として棚に移す。
禁止のルールではなく「代わりにこうする」の形にするのがコツだ。取り上げるのではなく、置き換える。
if-thenだけで十分?
単独では効きにくく、環境設計との併用が前提だ。 Gollwitzer 2006でも、強い衝動下ではif-thenだけでは効きにくいと指摘されている。手の届く場所にお菓子の袋を置かない、まとめ買いを控える、といった環境側の工夫と組み合わせると効きやすい。意志ではなく、条件と配置で先回りする。効果には個人差がある。
うまくいかない夜があってもいい
1回できなくても、積み上げは壊れない。 決めたルールを守れない夜は当然ある。そこで「もうだめだ」と全部投げ出さないことのほうが大事だ。守れた回数を数えるより、翌日にまた同じルールに戻れるかを見る。
今夜の一手: if-thenを1つだけ紙に書く
完璧なルール集はいらない。いちばんつまずく場面を1つ選び、「もし〜なら、〜する」を1行書いて冷蔵庫に貼る。今夜は、それだけでいい。

