スマホから取り戻した時間を、少しだけ身体を動かすことに回してみる。その入り口として「ゾーン2」という言葉を目にした人もいるだろう。派手でも劇的でもないが、無理なく続けやすい強度として語られることが多い。ここでは煽らず、その基本を整理しておく。

ゾーン2の有酸素運動とは何か?
会話ができる程度の低〜中強度の有酸素運動を指すとされ、続けやすさが特徴とされる帯だ。
心拍数の区分としてゾーン1〜5のように語られることがあり、そのうちゾーン2は「話しながらでも続けられる」くらいの低〜中強度に当たると説明される。速歩きや軽いジョギング、ゆるめの自転車などがイメージしやすい。ポイントは、頑張りすぎないことがむしろ狙いになっている点だ。息が切れて言葉が途切れるようなら、それはもうゾーン2より強い領域だと考えられる。我々はこれを「限界に挑む運動」ではなく、「土台をゆっくり積み直す運動」として捉えたい。
なぜ低〜中強度が土台になりやすいのか?
脂質の利用が相対的に高まりやすい帯として報告されているためだ。ただし「最強の運動」という意味ではない。
Achten と Jeukendrup による2004年のレビュー(Nutrition誌)では、運動中の脂質の利用は低強度から中強度にかけて高まり、強度が高くなると逆に下がっていくと整理されている。脂質の利用が最も高まる強度は人によって幅があり、レビューでは中強度あたりに位置づけられると述べられている。また San-Millán と Brooks の2018年の研究(Sports Medicine誌)は、血中の乳酸が高まるほど脂質の酸化が下がるという逆相関を報告し、中強度までの帯で身体がエネルギーをどう使い分けるかに注目している。これらはあくまで持久系の土台に関わる知見であり、「この強度だけが正しい」と断定するものではない。強度の感じ方も、適した範囲も、効果には個人差があります。
続けるために気をつけたいこと
強度を上げることより、燃え尽きずに戻ってこられることを優先する。
やる気のある日に飛ばしすぎると、翌日に疲れが残って足が遠のきやすい。ゾーン2の利点は、まさにその「重すぎなさ」にある。時間や頻度は生活に合わせて削っても構わないという前提で始めるほうが、結果として長く続きやすい。体調や既往、年齢によって適した強度は変わる。持病がある場合や不安がある場合は、無理をせず専門家に相談してから始めるのが安全だ。
今夜の一手: 話しながら歩ける速さで10分だけ外に出てみる
スマホを置いて、話しながら歩ける速さで10分だけ外に出てみる。息が切れたら少しゆるめる——それがゾーン2の目安になる。
