夜中までスマホを手放せなかった自分を思い出して、気分が沈む。使いすぎているから落ち込むのだ——そう自分を責めたくなる。でも、その因果は本当にその向きなのだろうか。「スマホの使いすぎと落ち込み」の関連について、メタ分析を手がかりに数字の読み方を整理していく。

スマホの使いすぎと、不安や落ち込みは関連するのか?
問題のあるスマホ使用は、不安症状・抑うつ症状・見逃し不安と正の相関があると報告されている。
Augner et al.(2023)は、問題のあるスマートフォン使用(PSU)に関する複数の研究をまとめてメタ分析した。その結果、PSUは不安症状・抑うつ症状・見逃し不安(FOMO)と正の相関があると報告された。つまり、スマホの使い方に困っている人ほど、こうした心理的な指標も高めに出る傾向がある。ここまでは、よく聞く話とおおむね一致する。個人差がある。
その関連は、原因と言えるのか?
含まれた研究のほとんどが横断研究で、因果の方向は特定できないと明記されている。
この研究のいちばん大事な但し書きがここだ。メタ分析に含まれた研究のほとんどは横断研究——ある一時点で、スマホの使い方と気分を同時に測ったものだった。同時に測っただけでは、使いすぎが落ち込みを招いたのか、落ち込みがあるから使いすぎたのか、順番までは分からない。関連があることと、原因であることは違う。Augner et al.自身が、因果の方向は特定できないと明記している。反応には個人差がある。
この数字を、どう受け取ればいいのか?
関連はあっても、自分を責める根拠にはならない。
「使いすぎるから落ち込む」と一方向に決めつけると、落ち込んだときにスマホを見た自分をさらに責めてしまう。けれど因果が双方向でありうるなら、それは順番の分からない話であって、あなたの弱さの証明ではない。減らして楽になるなら、それは意味のあることだ。ただし断った効果が長続きするとは限らないという別の研究もある。数字を自責に使わず、負担の小さい工夫から試すほうが現実的だ。気分の落ち込みがつらく続くときは、一人で抱えず専門の窓口や医療機関へ。反応には個人差がある。
今夜の一手: 「使いすぎたから」を、一度だけ疑ってみる
今夜、もし気分が沈んでいても、それを「スマホのせい」と決めつけない。関連はあっても、どちらが先かは研究でも分かっていない。そう知っておくだけで、自分を責める矢印が一本減る。つらさが続くときは専門の窓口へ。反応には個人差があります。

