トレーニングを終えた瞬間、スマホの時計が目に入る。「30分以内に摂らないと無駄になる」という言葉が頭をよぎり、あわててシェイカーを振る。だがその焦りは、本当に研究に支えられているのか。

トレーニング後にストップウォッチを気にしながらプロテインを急いで飲む人のイラスト

30分を逃すと、努力は台無しになるのか?

「同化ウィンドウを逃すと台無し」という通説は、レビューで過大評価されてきたと論じられている。

運動後の一定時間だけたんぱく質の効果が跳ね上がる、という「ゴールデンタイム」の考え方は広く知られている。だが2013年のAragonとSchoenfeldのレビューは、この窓の重要性も存在自体も条件次第で、従来の説は過大評価されてきたと整理した。数十分単位で勝負が決まるわけではない、というのがここでの見立てだ。効果や反応には個人差がある。

では、何を軸にすればいいのか?

別のメタ分析は、効いてくるのはタイミングより「総量」だと整理している。

2013年のSchoenfeldらのメタ分析(筋肥大23研究・筋力20研究)は、トレーニング前後のたんぱく質摂取のタイミングを調べた。すると、総摂取量を統計的にそろえたとたん、タイミングによる筋力・筋肥大の差は消えてしまった。つまり先に効いてくるのは「30分の時計」ではなく、「一日で足りているか」の総量だ。だから運動後に摂ること自体はいい。ただ、時計に追われて焦る必要はない。順番を、分刻みから一日単位へ入れ替えることだ。

今夜の一手: 時計より、今日の総量をざっくり数える

シェイカーを急いで振る前に、今日のたんぱく質がだいたい足りていたかを思い返す。30分の窓を気にするより、一日の総量を整えるほうが研究とは整合的だ。持病がある人は専門家へ。効果には個人差があります。