夜、椅子から立ち上がるときに膝がこわばる。運動した方がいいのは分かっているけれど、「かえって膝を痛めるのでは」と足がすくむ。動かすべきか、休ませるべきか。その迷いのまま、また一日が終わっていく。
膝が痛いと、運動は避けるべき?
避けるより、負担の小さい運動を選んで動かす方が、痛みは和らぐ方向に働くと報告されています。 Fransen 2015(54試験・約5,362名のメタ分析)は、膝の変形性関節症に対して陸上での運動を行うと、痛みが直後に約12/100点、身体機能が約10/100点改善したと整理しています。しかも、その効果は運動をやめた後も2〜6か月はいくらか続いたとされています。効果量は中等度で「劇的に消える」ものではありませんが、少なくとも運動が膝を痛める方向ではなく、和らげる方向に働くことを示しています。もちろん、腫れや強い痛みがある日は別で、無理に動かす必要はありません。効果には個人差があります。
関節にやさしい始め方はある?
浮力で負担が減る水中運動は、始めの一歩として支持されています。 Bartels 2016(13RCT・1,190名)は、膝・股関節の変形性関節症に対する水中運動が、痛み・身体機能・生活の質を直後に小〜中等度改善させたと報告しています。水の中では体重が急に関節へかからないため、地上での運動がつらい人でも動き出しやすいのが利点です。プールでの歩行のほか、椅子に座って足を伸ばす、ゆっくり立ち座りを繰り返すといった、体重が一気にかからない動きも入り口になります。ここでも効果量は小さめで、痛みがゼロになるというより「少し動きやすくなる」温度感です。効果には個人差があります。
今夜の一手: 「痛みの手前」で1分だけ
膝を「動かすか、休ませるか」の二択から、「痛みの手前まで、そっと動かす」に置き換える。今夜は椅子に座ったまま、片脚をゆっくり伸ばして5秒キープを左右3回ずつ。痛気持ちいい手前で止め、翌朝つらくないかを確かめる。「Fransen 2015・運動は痛みをやや和らげる」と一行メモしておけば、動かすことへの怖さも、動かない罪悪感も少し軽くなる。強い痛みや腫れが続くなら、無理をせず医療者に相談してほしい。効果には個人差があります。

