布団に入っても、頭の中で明日の段取りがぐるぐる回る。眠らなきゃと思うほど胸が浅くなる。そんな夜、「深呼吸すると落ち着く」とよく聞くけれど、あれは気休めなのか、それとも体に根拠があるのか。
ゆっくりした呼吸で体は落ち着く方向へ動く?
体の反応としては、落ち着く方向へ動くという報告が多く見られます。 Zaccaro 2018(Frontiers in Human Neuroscience・システマティックレビュー)は、毎分10回未満のゆっくりした呼吸を調べた研究を集め、心拍変動(HRV)の増加や副交感神経(迷走神経)活動の高まり、脳波の変化と関連していたと整理しました。副交感神経は体を休ませる側の神経で、その働きが強まることは「緊張がほどける方向」と重なります。主観的にも、快適さやリラックス、不安・興奮の低下の報告が多かったとされています。ただしこれは関連(相関)を示すもので、合う合わないには個人差があります。
どこまで信じていい話なの?
「落ち着く方向と関連する」までで、万能薬ではない、と押さえておきたいところです。 レビュー自身が、集められた研究は測り方や条件がばらばらで、はっきりした因果を証明したわけではないと述べています。呼吸だけで強い不安や不眠がすべて解けるわけではありません。それでも、道具も費用もいらず、苦しくなければすぐ中断できる一手であることは確かです。効くかどうかを検索し続けるより、一度その場で試してみるほうが早い、という性質のものでもあります。無理に長く続けて息苦しくなったら、そこでやめて構いません。
今夜の一手: 吐く息を一拍長くして4回だけ
大掛かりな呼吸法は要りません。今夜は、鼻から静かに吸い、口から吸うときより少し長めに吐く。これを4回だけ、数えながら繰り返す。ペースはおおむね毎分10回未満が目安です。「Zaccaro 2018・ゆっくり呼吸は落ち着く方向と関連」と覚えておけば、次に胸が浅くなった夜、スマートフォンより先に呼吸へ手が伸びる。合う合わないには個人差があります。


